【国連IPS=タリフ・ディーン】
国連によれば一般市場と闇市場で6億以上の小型武器が取引されている。それにもかかわらず、これらの武器の無謀な拡散を規制する国際条約はない。
「各国政府には明確な選択肢がある。銃による暴力で毎日およそ1,000人の命が奪われているなか従来通り武器貿易を続けるのか、あるいは違法な取引を規制する法的に拘束力のある合意に達するかだ」とジョージタウン大学の平和・安全保障研究センターのナタリー・J・ゴールドリング氏は指摘する。
先月開催された小型武器に関する隔年の国連会議で、国連の潘基文国連事務総長は小型武器の違法取引の対策において加盟諸国は大きな進展を遂げてきたが、しかし数多くの課題が残っていると述べた。唯一最大の課題は、違法小型武器に関する新たな国際条約の創設であろう。
2005年の隔年会議と2006年の小型武器に関する検討会議ではいずれも、成果文書に関して「コンセンサス」に達することができなかった。事実上コンセンサスとは「全会一致の合意」と定義されており、したがってわずか1国でも進展を阻止することができる。
第三世界のある代表によれば、近年は米国が、そして米国代表が大半の会合を欠席した先月の会議ではイランがこうした役割を果たした。
先月の会議では、全会一致の合意が不可能と分かると、参加者は成果文書について、前例のない投票を要求した。その結果、136カ国中、棄権したイランとジンバブエを除き134カ国が成果文書採択を支持した。
ゴールドリング氏によれば、リトアニアのDalius Cekuolis大使が成果文書案の1行毎の編集を拒否するという大きな冒険に踏み切った。Cekuolis大使の革新的なアプローチにより、成果文書はその影響力の弱体化を免れた。
9月中旬に開会する第63回国連総会でも小型武器に関する決議が検討される。次回小型武器に関する国連会議は2010年開催の計画である。
なかなか進展が見られない小型武器の拡散規制に関する合意努力について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan