【カイロIPS=アダム・モロー】
7月9日、報道の自由を規制する新しい法律がエジプトで成立した。これに対して、多くのジャーナリストや野党関係者が反対の声を上げている。
1996年に制定されていた現行法では、名誉毀損によりメディアの編集者や記者を逮捕する権限が認められており、独立のジャーナリストは長らくこの法律に反対してきた。同法では、名誉毀損に対して、最高で懲役1年・罰金5000エジプトポンド(約900ドル)の刑を科すことができた。
2004年2月、ホスニ・ムバラク大統領は、報道に関してジャーナリストの身柄を拘束することができなくするよう法改正することを表明した。しかし、その約束はついに守られることはなかった。
つい先月にも、独立派の週刊誌『アル・ダストゥール』(Al-Dustour)の記者2人が、大統領に批判的な記事を書いたとの理由で懲役1年・罰金1万エジプトポンドの刑を科せられたばかりである。『アル・ダストゥール』誌は、7年間の発禁処分の後、昨年ようやく販売再開が認められたばかりであった。
今回の新法では、政府がジャーナリストを拘禁する権限をあらためて認め、罰金の額を増している。対象となる罪には、大統領・議会・政府・外国元首などに対する批判が含まれている。
この立法に反対して、数百名のジャーナリストや野党関係者が国会議事堂の前で反対デモを行った。また、数十紙の新聞が、抗議の意味を込めて、日曜版の出版を取りやめ、政府発行紙の購入をボイコットするよう民衆に呼びかけた。さらに、すでに25の独立系・野党系新聞が、新法を無視することを宣言している。
エジプトにおける報道の自由の問題をめぐる争いについて報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan