【ドュッセルドルフIPS=マリセル・ドレイザー】
パラセールの利用によって大型輸送船のエネルギー消費を大幅に減らす技術の開発が、ドイツで進んでいる。
輸送船に取り付けられたパラセールは、コンピューター制御で異なる風の強さや方向に対応することができる。面積160平方メートルのパラセールは8トンの牽引力をもたらすことができるが、これは、エアバス社製のA318のエンジンと同じだけのパワーである。
これによって、平均的には10~30%、最大では50%のエネルギー消費をカットすることができるようになった。世界の海上輸送によって年間8億トンのCO2が発生しているから、この技術によって地球温暖化抑制に貢献できる。
この技術を開発したのは、ドイツ北部のハンブルクで生まれたシュテファン・ラーゲさんだ。15年前に砂浜でパラグライドをしているときに、この牽引力を海運に利用できないかと考えたのがきっかけだという。
2001年にはスカイセイルズ社が開発を開始し、2007年には国際海運路にて実験が開始されている。
パラセールの大きさによって、システムの価格は50万ドルから350万ドルまでとさまざまだが、燃油の節約によって、3~5年もあれば投資を回収することができるようになるという。
パラセールを使った新しい海上輸送の可能性について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩