ニュース米国の影響を最小限に抑えようとするカナダ

米国の影響を最小限に抑えようとするカナダ

【トロントIPS=ポール・ワインバーグ】

カナダのハーパー首相は、専門家が先行きを懸念する中、景気後退が来年には回復すると楽観的に予想するしか選択肢はない。バンクーバーのカナダ代替政策センターの経済学者、M.リー氏は、「指導者の悲観的な姿勢は事態を悪化させる。さらに今、雇用創出のためのインフラ投資が重要だ」と語った。

『グローブアンドメール』紙によると、与党保守党の議員は財政委員会の公聴会で、7月までに失業者が38万5,000人になると予想され、2008年第四四半期の国民総所得が15.3%も急落したとの報告を受けたが、フラハティ財務相は「急落」という言葉に不快感を示した。

 カナダ銀行のD.ドッジ前総裁も、「経済回復は遅れ、2013年にまでもつれ込む」と厳しい見方をしている。さらに予測機関であるHISグローバル・インサイトは、世界経済が2%以上縮小し、米国は3.7%、カナダは2.5%と予想している。戦後最大規模の世界的な景気後退に個々の国での対応は困難になっている。 

カナダは米国への経済的依存が大きく、米国政府の景気刺激策の影響もある。カナダ労働会議の経済学者、A.ジャクソン氏は米国の刺激策の効果はカナダに波及しないという。「米国内の公的投資とドル安で輸出攻勢が高まり、カナダにとっては問題だ」ジャクソン氏らはインフラ整備におけるバイ・カナダ運動(カナダ製品購買運動)を推進しようとしている。 

「このまま経済が不振であれば次の選挙でハーパー首相は国民の支持を得られない」とビクトリア大学のR.ウィテカー名誉教授はIPSの取材に応じて語り、「国民に不信が起きている」という。「だがカナダの銀行は投資熱に感染していなかったため、他の国より優位にあることは事実」 

けれどもリー氏は、カナダ政府も米国政府も金融安定にとらわれ、景気後退の主要因である家計の借金、失業の増加、個人消費の落ち込みを軽視しているという。カナダ統計局によると、積極的に仕事を探していない人を含めると、失業率は11.7%である。「減税より社会保障に投資して低所得者層の消費を促すべき」と同氏は主張する。 

米国の影響を大きく受けるカナダの景気対策について報告する。(原文へ) 
 
翻訳/サマリー=IPS Japan 

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