危機に立つアマゾン

【リオデジャネイロIPS=マリオ・オサバ】

国連環境計画(UNEP)とアマゾン協力条約機構が支援した調査「アマゾン環境概観」(GEO Amazon)が2月19日、発表された。2026年時点においてありうるアマゾンの4つの将来シナリオを検討している。報告書は、アマゾン地域8ヶ国の150人の科学者による共同研究の成果である。 

シナリオの第一は「叢生するアマゾン」。「汚染者負担の原則」が貫徹されることによって、環境管理は現在より強固になっている。第二は「光と影」シナリオで、有害な生産活動を止めるべく、地域諸国が持続可能な開発を継続している。 

第三は「かつて緑の地獄」シナリオで、「自然的・文化的富が不可逆的に失われ」、貧富の格差が広がるというもの。そして最後に、「絶壁の上を歩く」シナリオで、巨大開発プロジェクトによってアマゾンが壊滅的に破壊されたというものである。

2005年までの累計で、アマゾンのジャングル全体の17%にあたる85万7666平方キロメートルが失われている。2000年から2005年にかけての喪失面積の平均は年間2万7218平方キロメートルである。 

生物多様性も影響を受けている。これまでに少なくとも26の種が絶滅し、644種が危機状態、3827種が絶滅危惧種とされている。 

アマゾンが失われるひとつの原因は、肉牛の飼育である。ブラジルのアマゾンにおける肉牛の個体数は、1994年の3470万頭から2006年には7370万頭まで急拡大している。 

また、大豆栽培、材木業、鉱業、水力発電なども森林破壊の大きな原因となっている。これに関連してアマゾンの人口も増えている。1970年には500万人超しかいなかったが、2007年には3350万人にまで達した。これは、アマゾン地域8ヶ国の人口の11%を占めている。 

報告書は、アマゾンの生態系の劣化を防ぐために、地元の人びとの参加が必要であると主張している。 

アマゾンの将来について予想した報告書について伝える。(原文へ) 

翻訳/サマリ=IPS Japan 

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