【カナダ、アクスブリッジIPS=ステファン・リーヒ】
西半球で最も貧しい国、ハイチは今、歴史上最悪の自然災害を経験しており、環境への脆弱性を軽減する大規模な解決策を必要としていると当局者や人道支援要員は言う。
8月、9月で4つの大暴風雨がハイチを襲い、1,000人が亡くなり、100万人が家を失った。国際援助隊が人命救助を行い仮設住宅を造っているが、国中広範囲にわたる枯れた土地はさらにダメージを受け、穀物や肥沃な土地や残り少ない木まで洗い流した。
「今この国は最悪な状態で、地球上上で最も環境危機がある場所だ。」人道支援団体の責任者で、国連開発計画(UNDP)ポルトープランスの責任者でもあるJoel Boutroue氏はTierraméricaの取材に応じて語った。
しかし、世界各国の支援への反応は非常に良く、深刻な栄養失調の傾向はまだあるものの、きれいな水が手に入り、10月時点で仮設住宅がないのが3,000家族のみだと言う。とはいえ、国民950万人を長期間国際援助で食糧支給するのは不可能だ。今ハイチは自給出来ておらず、何年も経たないと食料自給率50パーセント分の穀物さえ育てられないとBoutroue氏は恐れる。
ハイチでは、森林の98パーセントを燃料用に伐採し、水をせき止める物がなくなり、通常の暴風雨でも大洪水を引き起こして被害が拡大。表土がほとんど侵食してしまった。また、水を浄化する森林や植物の生えた土地がないので、子供の90パーセントが水系感染症(伝染病) にかかり、腸内寄生虫がいる。
不毛でやせた土地という環境危機への改善対策では、森林再生、台地形成、水流の水路化といった流域復旧が最優先事項だが、遅々として進まず、1つの修復プロジェクトの開始準備に3年かかるとBoutroue氏は嘆く。北部ゴナイブ市周辺流域2パーセントを200万ドルから300万ドルかけて修復したが、今年の暴風雨で最もひどい災害を被り、作業のほとんどが破壊した。他の地方も同じ状況だ。
ハイチは貧困のサイクルから抜けられない。農民は懸命に努力しても、家族をやっと養う食料しか作れず、長期的に健康な土地を作れない。慈善団体は救済活動として新しい農作方法を提案するが、資金が無くなると数カ月や数年で去ってしまうとルイス氏は言う。
先月、ロバート・B・ゼーリック世界銀行総裁はハイチを視察し、追加の緊急無償援助2,500万ドルを行い、主要な橋を建設し、ハイチの自然災害への脆弱性を軽減するために実行中のプログラムをさらに広げていくと発表した。これは世界銀行が国際開発協会(IDA)経由で2005年から行っている無利子の融資・補助金2億4,000万ドルに追加で行うものだ。
国連や世界銀行などの「ハイチ復興フレームワーク」では、3年にわたり流域復旧、基本サービス、食料安全保証のために数十億ドル規模というこれまでにない力とお金を注ぎ、「国が思い切った手段で再出発し、復興する」計画を2008年末までに開始する予定だとBoutroue氏は言う。
「流域を復旧する方法は知っている。うまくいくのもわかっているし、人もいるし、作業能力もある。お金だけが足りない」と国連職員は言う。
史上最悪の自然災害に苦しむハイチと復旧支援状況について報告する。 (原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩