元世界指導者や人権団体が成果の乏しさを厳しく批判、若者と市民社会の役割も浮き彫りに
【グラスゴーIDN=クルト・レイノルズ】
11月13日未明に閉幕した国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、開催地グラスゴーに集まった非政府組織(NGO)や気候活動家のみならず、元世界指導者らからも「重大な失望」と受け止められた。各国首脳が気候危機に見合う政治的決断を示せなかったとして、会議の成果を厳しく批判する声が相次いだ。
平和、正義、人権のために活動する元首脳らの独立組織「エルダーズ」の議長を務めるメアリー・ロビンソン元アイルランド大統領は、COP26の結果について、「人々はこれを、歴史的に見ても恥ずべき職務放棄と受け止めるだろう」と厳しく断じた。ロビンソン氏は、「一定の前進はあったが、気候災害を回避するにはほど遠い。すでに世界中で何百万人もの人々が危機に直面しているにもかかわらず、十分な数の指導者が危機対応の姿勢を示さなかった」と述べた。
アントニオ・グテーレス国連事務総長も、より抑制的な表現ながら、会議の不十分さをにじませた。グテーレス氏は、2022年にエジプトで開催される次回会議COP27を見据えつつ、「私たちは命を懸けた闘いの中にいる」と述べ、「COP27は今始まる」と訴えた。
さらにグテーレス氏は、「私たちはなお、気候破局の扉をたたいている。非常事態モードに入る時だ。さもなければ、ネットゼロ達成の可能性そのものがゼロになってしまう」と警鐘を鳴らした。そのうえで、化石燃料補助金の廃止、石炭火力の段階的廃止、炭素価格の導入、脆弱な地域社会の強靭化、そして途上国支援のために先進国が約束した年1000億ドル規模の気候資金の履行を改めて求めた。今回の会議ではそれらの目標は実現しなかったものの、「前進のためのいくつかの土台は得られた」とも述べた。
事務総長によれば、今回具体的に確認されたのは、森林破壊の停止、メタン排出の大幅削減、ネットゼロに向けた民間資金の動員といった項目にとどまった。COP26議長で英国内閣府担当閣外大臣のアロック・シャーマ氏も、「深くおわびする」と述べ、会議が世界の期待した具体的成果に結びつかなかったことを認めた。
とりわけ厳しい批判を展開したのは、アムネスティ・インターナショナルのアニェス・カラマール事務総長である。カラマール氏は声明で、各国指導者が「気候危機の影響を最も強く受ける人々を守ることに失敗し、その代わりに化石燃料産業や他の強大な企業の利益に屈したことで、人類全体を壊滅的に裏切った」と非難した。さらに、グラスゴーでの2週間に及ぶ会議は、「地球も人々も守る結果を生み出せなかった」と指摘した。
同氏はまた、「国連は本来、国家のためではなく人々のために築かれたはずだ」と強調し、交渉の過程で各国指導者は、人間の権利を軽視し、削り取り、ときに取引の対象にしてきたと批判した。とりわけ、世界で最も周縁化された人々が「切り捨て可能な付随的被害」として扱われてきたと指摘した。
さらにカラマール氏は、世界の平均気温上昇を1.5度以内に抑えるという目標への明確なコミットメントが欠けていることにより、グローバルサウスを中心に5億人以上が深刻な水不足に直面し、数億人が極端な熱波にさらされる危険があると警告した。そのうえで、富裕国が気候変動による「損失と被害」に苦しむ地域社会への補償資金の拠出を約束せず、途上国向け気候資金についても、主として無償資金とする決断を避けたことは、危機対応能力の乏しい国々を持続不可能な債務へ追い込む恐れがあると批判した。
会議期間中、グラスゴーの街頭や会場周辺では、多くのNGOや気候活動家が行動を展開した。その中で、平和・文化・教育を推進する世界的な地域密着型仏教団体、創価学会インタナショナル(SGI)も、複数のサイドイベントを主催し、現在の気候非常事態への対応において若者が主体的役割を担う必要性を強く訴えた。
SGIは、若者に関する具体的提案も打ち出した。池田大作会長は、2030年まで毎年開催する「国連ユース気候サミット」の創設を提案するとともに、気候関連の意思決定に若者の参加を制度的に組み込む安全保障理事会決議の採択を呼びかけた。加えて、気候変動やポストコロナの課題に焦点を当てた地域・国家レベルのユースサミットの開催や、若者の関与とリーダーシップを継続的に支える「国連ユース評議会」の設立も提唱した。
会期中、SGIはSGI-UKおよび英国の応用仏教センター(CfAB)とともに、「希望の種をまこう――気候正義のための行動」をテーマに、宗教指導者から若手活動家まで多様な関係者が対話する場を提供した。11月3日にグラスゴーのウェブスターズ・シアターで開催された「レトリックを超えて――気候行動のための若者のリーダーシップ」では、ネパール青年気候行動のシュレヤ・KC氏が、「私たちには声がないのではない。聞き届けられていないのだ」と語った。会場では、ナイジェリアやパキスタンなどグローバルサウスの若者たちが、気候正義への明確なビジョンを力強く示した。
また、11月4日の「グローバル・ジャスティス――気候正義」と題するパネルでは、「Faith for the Climate」の代表シャノン・シャー氏が、気候危機は環境問題であると同時に社会的・政治的問題でもあると指摘した。危機の原因を最もつくっていない脆弱な人々こそが、最も大きな被害を受けているからである。
各種イベントでは、人々の心を動かす「物語」の力にも焦点が当てられた。オランダを拠点に活動する先住民活動家ラキ・アップ氏は、「物語が変われば、制度も変わる」と述べた。11月1日には、SGIがアース・チャーター・インターナショナルと協力して制作した展示「希望と行動の種」がウェブスターズで始まり、気候危機がもたらす絶望に立ち向かう希望と行動の重要性を訴えた。開幕式では、ケニアのグリーン・ジェネレーション・イニシアチブ創設者であり、COP26市民社会・若者諮問委員会のグローバルサウス共同議長でもあるエリザベス・ワツティ氏が登壇した。
創価学会の各組織は、COP26に先立つ段階から世界各地で取り組みを進めてきた。SGI-UKと応用仏教センターは1年にわたり毎月ウェビナーを開催し、SGI-UKのメンバーや他の気候活動家が仏教的視点から気候危機を論じてきた。インド、イタリア、日本、マレーシア、シンガポールでも、気候危機に関する草の根の意識啓発活動が展開されている。
会議初日の10月31日、SGIは記者会見を通じて、気候非常事態への対応には真の地球規模の連帯が不可欠だと訴えた。声明は、温室効果ガスの削減加速に加え、COP26の成果が「誰一人取り残さず」、教育を強化し、若者により多くのリーダーシップの機会を与え、すべての人が「希望と行動の種」をまけるものとなるべきだと強調した。
創価学会は、世界1250万世帯の会員を擁し、平和・文化・教育を推進する世界的な仏教団体であり、1983年以来、国連経済社会理事会(ECOSOC)との協議資格を持つNGOでもある。応用仏教センター(CfAB)は、英国を拠点とする研究・対話・学習の拠点である。(原文へ)FBポスト
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