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SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)国連、地球温暖化防止は「今しかない」と警告

国連、地球温暖化防止は「今しかない」と警告

【ニューヨークIDN=ラドワン・ジャキーム】

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、気候変動に関する科学的知見を集約する国連機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の最新評価報告書の発表を受けて、地球温暖化を摂氏1.5度に抑えるには「今しかない」と警告した。

4月4日に発表されたIPCC第3作業部会(緩和策)の報告書によると、2010年から19年にかけての有害な炭素排出量は、人類史上かつてないほど多くなっている。これは、世界が大惨事への「早道」にあることを証明するものだ。

Antonio Gutierrez, Director General of UN/ Public Domain
Antonio Gutierrez, Director General of UN/ Public Domain

グテーレス事務総長は、世界中の政府がエネルギー政策を見直さない限り、人が住めなくなる世界となると主張した。彼の発言は、すべての国が化石燃料の使用を大幅に削減し、電気へのアクセスを拡大し、エネルギー効率を改善し、水素などの代替燃料の使用を増やさなければならないというIPCCの主張を反映したものだ。

グテーレス事務総長はビデオメッセージで、「気候科学者たちは、連鎖的で不可逆的な気候への影響につながり得る転換点に既に危険なほど近づいていると警告している。」と指摘したうえで、「早急に行動を起こさない限り、主要都市が水没し、熱波や暴風雨が襲う。水不足が広がり、100万種の動植物が絶滅する。これはフィクションでも誇張でもない。現在のエネルギー政策がもたらすものであることを、科学が教えてくれている。私たちは、2015年にパリで合意された1.5度の上限の2倍を超える地球温暖化への道を歩んでいる。」と危機感を露わにした。

各国政府を通じて推薦された数百人の科学者が執筆し195カ国が合意したIPCC報告書は、その厳しい評価を裏付ける科学的証拠を提供し、人間の活動によって発生した温室効果ガスの排出量が、「世界のすべての主要部門で」2010年から増加していると指摘している。

グテーレス事務総長はまた、「(2030年までに排出量が14%増加する現在各国が表明している削減目標は)気候に関する約束破りの羅列であり、この報告書は、約束と現実との間に大きな隔たりがあることを明らかにした。」と指摘したうえで、「排出量が多い政府や企業は、見て見ぬふりをしているだけでなく、気候変動を引き起こす産業への投資を継続して火に油を注いでいる。」と非難した。

Air and chemical pollution are growing rapidly in the developing world with dire consequences for health, says Richard Fuller, president of the Pure Earth/Blacksmith Institute. Credit: Bigstock
Air and chemical pollution are growing rapidly in the developing world with dire consequences for health, says Richard Fuller, president of the Pure Earth/Blacksmith Institute. Credit: Bigstock

報告書の著者らは、排出量の増加の原因が都市部にあるとして、過去10年ほどの間に取り戻した排出量の削減は、「産業、エネルギー供給、輸送、農業、建物における世界的な活動レベルの上昇による排出量の増加を下回っている」と憂慮する言葉を綴っている。

IPCCは、一方でポジティブな側面として、2030年までに排出量を半減させることは依然として可能であると主張し、各国政府に排出量削減のための行動を強化するよう促している。また、2010年以降、再生可能エネルギー源のコストが大幅に低下(例:太陽発電、風力発電、蓄電池価格が最大85%低下)している点を歓迎している。

今しかない

最新の報告書を発表したIPCC第3作業部会の共同議長であるジム・スキア氏は、「地球温暖化を1.5℃に抑えるには、すべての部門で即時かつ大幅な排出削減をしなければ不可能であり、今しかない」と述べている。

世界の気温は、二酸化炭素の排出が正味ゼロになると安定する。1.5度の場合は2050年代前半、2度の場合は2070年代前半に全世界で二酸化炭素の排出が正味ゼロになることを意味するとIPCC報告書は述べている。

「今回の評価では、温暖化を2度に抑えるには、依然として世界の温室効果ガス排出量を遅くとも2025年までにピークアウトさせ、30年までに4分の1に削減する必要があることを示している。」

IPCCの評価は、各国政府が気候政策を立案する際に利用できる科学的根拠を提供するもので、非常に重要視されている。また、気候変動に対処するための国際交渉においても重要な役割を担っている。

IPCCの報告書では、各国政府が利用できる持続可能な排出削減策のうち、都市や都市部の機能を将来的に見直すことが、気候変動の最悪の影響を緩和するために大きく役立つと強調している。

「これらの削減は、エネルギー消費の削減(コンパクトで歩きやすい都市の形成など)、低排出エネルギー源と組み合わせた輸送の電化、自然を利用した炭素吸収・貯蔵の強化によって達成できる」と報告書は提言している。「既存の都市、急成長する都市、新しい都市には選択肢がある」と述べている。

IPCC
IPCC

IPCC第3作業部会共同議長のプリヤダルシ・シュクラ氏は、このメッセージに共鳴し、「正しい政策、インフラ、技術…ライフスタイルや行動を変えることができれば、2050年までに温室効果ガス排出を40~70%削減できる。また、このようなライフスタイルの変化が、私たちの健康と福祉を向上させることも実証されている。」と語った。(原文へ

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