【ワシントンIPS=ジム・ローブ】
エチオピアのオガデン地方でソマリ人反政府勢力「オガデン民族解放戦線」(ONLF)とその支援者と疑われる市民に対する鎮圧作戦が強化されており、人権擁護団体の批判とともにエチオピア政府の忠実な同盟者ブッシュ政権からも懸念が高まっている。
鎮圧作戦は、一部専門家によれば、中国人9人を含む74人が殺害された4月のONLFによる中国系石油施設襲撃事件に遡るもので、ソマリ人住民を著しい苦境に陥れていると、7月4日ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)はオガデン地方の状況について声明を発表した。
HRWアフリカ担当ディレクターのピーター・タキランブッデ氏は、「エチオピア軍は村落や財産を破壊し、家畜を没収し、村民を強制移住させている。背景となっている軍事戦略がいかなるものであろうとも、こうした虐待は戦争法を犯すものだ」と述べている。
しかし鎮圧作戦は、イラクの米軍の場合と同じように、隣国ソマリアのゲリラ戦の泥沼にますますはまっているエチオピア軍に更なる重圧をかける結果にもなっている。
エチオピアのメレス首相は先週、イスラム法廷連合(ICU)を権力の座から追い出した昨年末のソマリア介入について「政治的予測を誤った」と失敗を認めた。
ワシントンの議会調査局のアフリカの角地域専門家テッド・ダグネ氏は、「エチオピアのソマリア介入は、ソマリアの不安定さと混乱を一層悪化させ、あらゆる局面においてエチオピアの脆弱性を増した」と評す。
エチオピアのソマリア介入を支持し、侵略後特定の「テロリスト」への攻撃も行なってきたブッシュ政権は、オガデン地方で進められている鎮圧作戦を公には批判していない。
しかし同時に、米高官らは、軍による殺人、レイプ、村落への放火を含む深刻な人権侵害について、またこうした事態が続くことで、アルカイダ民兵をかくまっているとして米政府が非難しているICUやその他反エチオピア勢力をオガデン地方に引き付けることになり、現在は2地方間の紛争に留まっているものをより広範な地域戦争に変容させるのではないかと、非公式に危惧している。
エチオピア軍の反政府勢力鎮圧活動による情勢を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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