ニュースNATO 冷戦の亡霊

NATO 冷戦の亡霊

【ブリュッセルIPS=デイビッド・クローニン】

インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は2月4日、NATO加盟国政府は旧ソ連KGBの訓練を受けたハンガリー人がNATO情報委員会の議長に就任したことで、秘密情報交換により慎重になるだろうとの記事を掲載した。NATO(北大西洋条約機構)では今日から組織の役割に関する激しい議論が開始される予定で、問題人事はこの様な時期に発表されたのだ。 

本来NATOは、西ヨーロッパと米国の同盟国のいずれかが攻撃を受けた場合互いの防衛を行うとのコミットメントに基づいていたが、1990年代に新たな方向が出始めた。1999年の50周年には、NATO国を攻撃しなかったセルビアのミロシェビッチ大統領を攻撃。より最近では、宿敵ロシアの隣国の多くをメンバーに加えた。また、ダルフール和平へ向けてのアフリカ連合軍に対するロジスティックス支援、アフガニスタンへの派兵を行っている。

 1月には、多数の退役軍高官が、変化する環境に対応できなければNATOは信頼を失う危険な状況にあるとする報告書を提出した。同報告書は、非軍事的能力を拡大する必要があるとしながらも、核兵器の重要性は維持すべきとしている。 

EUの新リスボン協定の下、EU加盟国政府はNATOの革新を誓った。しかし、平和活動家によれば、これはヨーロッパの軍事力拡大を目指すものという。 

NATOの軍事支出は、世界の軍事支出の75%を占め(年間8,250億ドル)その多くは米国の支出である。今週のペンタゴン発表によれば、米国の2009年軍事予算は5,150億ドルと、第二次世界大戦以来最大となっている。 

研究機関英米安全保障情報評議会(BASIC)のポール・イングラム氏は、「ヨーロッパ諸国は米国に追随すべきではない。しかし、問題は好戦的な英国、フランス、米国が防衛費の増強に圧力をかけていることだ」と指摘する。ドイツは最近、米国のアフガン南部への部隊派遣依頼を拒否している。 

ロンドンにある国際戦略研究所はNATO加盟国間の不一致が今後1年間の中心問題になるだろうと語っている。NATOの今後について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

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