【ポートオブスペインIPS=ピーター・リチャーズ】
セントルシアに住むマリア・ハーベイさんは、冬のボーナスを楽しみにしていた。しかし、彼女がボーナスの代わりに受け取ったのは、彼女をレイオフにすることを告げる会社からの通告書であった。マリアさんは、世界的な経済不況の影響で苦しむカリブ海地域の観光業に従事している。
カリブ海諸国は観光産業に大きく依存している。カリブ観光業協会によると、昨年の観光客は2300万人で、2002年から19.4%増であるという。昨年の売り上げは570億ドルで、2006年の254億ドルから急増している。
しかし、経済不況は各国の観光産業を襲っている。バハマでは、あるホテルが800人の従業員を解雇した。ヒューバート・イングラム首相は、来年はじめも見通しは暗いと述べた。
セントルシアの観光当局は、最大4000人の職が失われる可能性に言及している。チャスタネット観光大臣は、今週にも政府のタスクフォースが雇用問題に関する報告書を出すと述べた。
ジャマイカでは、政府が、ホテルによる一般消費税の減税やジャマイカ開発銀行による観光業界への特別融資などの対策を発表した。
英国の税制の変更もカリブの観光業界に影響を与えそうだ。というのも、航空会社にではなく飛行機の乗客自体に課税する計画を英国政府が発表したからである。欧州からカリブ海地域へは多くの長距離便が飛んでおり、観光業には打撃となる。
他方で、国際労働機関(ILO)カリブ支部は、経済不況下にあってもまともな労働(decent work)の原則を守らせるように、各国政府に呼びかけている。
カリブ海地域の観光産業の状況について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩
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