【パリIPS=ジュリオ・ゴドイ】
パリのユネスコ本部において先週、世界人権宣言60周年を記念する国連広報局NGO委員会(DPI/NGO)の年次総会が開催された。
今会議には世界の人権専門家および活動家約2,000人が参加。国連の潘事務総長は、ビデオメッセージを寄せ、代表団は人類の最も偉大な業績の1つを記念するために集まったと述べた。しかし、会場に祝賀ムードはなく、人権は国内および国際レベルでのテロ対反テロの戦いにより弱体化しているとの雰囲気が漂っていた。
ヒューマンライツ・ウォッチのテロおよび対テロプログラム担当ジョアンヌ・マリナー部長は、「我々は、9/11事件直後に人権協定および合意の適用は必要ないとする政府政策の劇的変化を目撃した。米国の権利抑圧は世界的傾向の一部でしかない。世界約80カ国が2001年9月11日以降テロ取り締まり法を採択し、新たな法律により個人の権利/自由を抑圧するパターンが出来上がった。司法の監視、透明性、個人の権利保護の仕組みも全く不十分なまま、政府の個人調査、拘束、収監が大幅に強化された」と語った。
会議参加者は、国連機関が人権抑圧に協力的であることを指摘。マリナー氏は、「国連では、人権問題に関する力の均衡が安全保障理事会およびテロ対策目的に創設された機関に傾いている。安保理は、「立法的色彩の濃い」決議を立て続けに採択し、各国にテロ資金の流れ、テロ容疑者の入国ルートを突き止めるため、また容疑者を投獄するための新法を可決するよう迫ったと」と非難した。
また、アクション・エイド・エチオピアのダニエル・ベケレ氏は、「近年アフリカでは市民社会運動が急速に発展しているが、同時に国内あるいは国際治安を口実に市民社会団体への圧力を強めている国が多いのも事実だ」と語った。
同会議では、12月10日から始まる「人権学習国際年」(International Year of Human Rights Learning)に先立ち、人権に関する教育、学習、対話を推し進めるための方法についても話し合われた。
ユネスコ本部で開催された国連広報局NGO委員会の年次総会について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩
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