【ワシントンIPS=ジム・ローブ】
各国政府の透明性と説明責任の向上に取り組んでいるNGOインターナショナル・バジェット・パートナーシップ(IBP)(在ワシントン)が、各国政府の国民に対する歳出情報の公開度を評価した報告書を発表した。
調査対象となった85カ国中、歳出情報の透明度を示す指数Open Budget Indexが高かった上位5カ国は、英国、南アフリカ、フランス、ニュージーランド、米国の順であった。
しかし80%に当たる68カ国は、国民が公的資金の使用について把握、関与、監視するために必要な包括的な情報の適時公開を怠っている、と報告書は明らかにしている。85カ国のうち約半数の国は情報公開がほとんどなされていないため、浪費、不正管理、汚職腐敗を暴くことも実質的に不可能である。
情報開示が下位の国は、中東と北アフリカが中心で、サハラ以南の諸国が次に続いた。また、低所得国、とりわけ外国からの援助や石油・ガスの輸出に歳入を大きく依存している国にその傾向が強く見られた。
ただ発展途上国よりも先進国に歳出情報の開示が進んでいる傾向が見られたものの、例外も多く見られた。2位の南アフリカや8位のブラジルのほかにも、ペルー、スリランカ、コロンビア、パプアニューギニア、インドが上位20カ国に名を連ねた。
こうした評価結果に、IBPのディレクターであるワレン・クラフチク氏は「貧困国であることや援助・石油ガス収益への依存国であることは、不十分な歳出情報公開の言い訳にはならないということ」と指摘する。
また、現在情報の公開が進んでいない多くの貧困諸国でも、援助国や国内での利用目的のためにすでに情報は作成されており、最小限のコストで透明性を向上することができることが明らかとなった。
クラフチク氏は「なすべきことはすでに作成済の情報をインターネットで公開するだけのこと。問題は情報の作成や作成能力の欠如ではなく、情報公開に対する政治的意思の欠如だ」とIPSの取材に応えて述べた。
「透明性の欠如によって、市民は意思決定プロセスに関与することもできず、無駄で腐敗に関係した不適正な支出が生まれ、政府の各種事業の中でもとりわけ貧困撲滅事業の正当性や効果が低減されている」と指摘する報告書『Open Budgets Transform Lives』について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩