【ワシントンIPS=マシュー・バーガー】
現在の食料価格の上昇はまだ危機のレベルには達していないが、価格は今後も乱高下をつづけると研究者はみている。
この研究をまとめたのは、国際食料政策研究所のデレク・ヒーデイ研究員ら。2007~08年の食料危機の原因をさぐった研究だ。
それによれば、食料危機を起こしたのは、さまざまな要因が重なった「完全なる嵐」(perfect storm)だという。エネルギー価格の上昇、バイオ燃料需要の拡大、ドル価値の低下、消費者パニック、輸出制限、天候不順などの原因が折り重なっている。
他方で、インド・中国における需要の拡大、作物生産の減少、穀物備蓄の減少、先物市場における投資といった要因については、否定している。
2008年夏に食料価格がもっとも高騰したのち、世界で飢餓に苦しむ人々は2009年に史上最高の10億人を超えた。国連世界食糧計画(WFP)の推計によると、今年は、9億2500万人が慢性的な飢餓状態にあるとみられる。
国連食糧農業機関(FAO)は、11月17日、今年の世界の穀物生産は前年比2%減と予想されることを発表した(従前の予想は1.2%増)。
6月以来、小麦価格は60%、トウモロコシは50%上昇しているが、国際食料政策研究所のシェンゲン・ファン所長は、これによって「危機」が訪れたとはまだみなせないと話す。なぜなら、食糧備蓄量が以前よりも多くなっているからだ。
バイオ燃料の登場以来、エネルギー価格が食料価格に与える影響が大きくなっている。ファン氏は、バイオ燃料は気候変動の解決策にならないため、それに補助金を費やすことはやめるべきだという立場である。
食料価格上昇の動向と原因について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩