SDGsGoal4(質の高い教育をみんなに)地域の人材を保持するためにグローバル展開

地域の人材を保持するためにグローバル展開

ネパール東部のあるIT学校が、インターネットフリーランサーとして稼ぐための訓練を通じて、国外への流出を減らしている。

【カトマンズNepali Times=マーティ・ローガン】

卒業後、ダンベー・マデンさんは会計士として働きながら、余暇にはスケッチに情熱を注いでいた。彼はその才能をデジタル・デザインに応用しようと思い、ここバヌ・ジャナ高等学校の新しいコースに参加した。

現在、マデンさんはタプレジュンのITアカデミーで新入生の指導にあたっている。24歳の彼は現在、世界中の企業とオンラインでデザインの仕事を掛け持ちし、会計士時代よりもはるかに多くの収入を得ている。

「YouTubeで3Dデザインやモーショングラフィックス、アニメーションを学んでいます」とマデンさんは、広々としたバヌ・ジャナ高等学校の敷地内にあるITアカデミーで語った。

明るい色の壁、ひときわ高い天井、広い木製の階段が明るい雰囲気を醸し出している。その近くには、ウッドパネル張りのペルニレズ・コーヒー・バーがあり、その前にグループの作業スペースがある。これは、2017年からタプレジュンの学校とそのコミュニティを支援しているデンマークのNGO、ヒューマン・プラクティス・ファンデーション(HPF)の創設者、ペルニレ・マドセン氏にちなんで名付けられた。

2014年に発足したHPFは、デンマークとケニアでもプログラムを実施している。

Photo: MARTY LOGAN
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寄付者であるヴァルデマー・シュミット氏は、HPFが支援する学校の生徒たちに卒業後の選択肢を提供したかったと語った。

「数年前、私は『子供たちが学校を卒業したらどうなるのか? 私たちは子供たちにより良い未来を与えるための仕事をしたのか?』と自問自答を始めました。答えは『いいや、まだ十分ではない。もっとやるべきことがある。』というものでした。」と、デンマークからのZoomインタビューに応じたシュミット氏は語った。

「アカデミーは2023年11月に開校しました。現在までに661人の生徒が卒業し、14人がオンラインで仕事をしています。シンガポール、デンマ ―ク、韓国の企業で働いている者もいます。」と、バヌ・ジャナ高校のキショール・クマール・ライ教頭は語った。

「彼らは他の仕事をするよりもここで(オンラインで)働く方が収入が多いので、タプレジュンに留まることに満足しているのです。このアカデミーは、移住を阻止し、若者の頭脳流出も防ぐでしょう。」と、ライ教頭は付け加えた。

6月にはグラフィックデザインとデジタル・マーケティングに関する新しいコースが始まった。技術的な要素だけでなく、生徒たちは提案書の書き方や契約交渉など、オンライン・フリーランサーとして成功するために必要なスキルも学ぶ。

シュミット氏は、「HPFは2028年までに、レベル2と3のウェブ開発やサイバーセキュリティのコースで、最大800人のデジタルワーカーを卒業させることを目指しています。レベル1の卒業生は、上級コースの授業料を支払い、すでにフリーランスとして収入を得ていることを証明する必要があります。」と説明した。また、「私たちは何でも少しずつやるアカデミーとして知られたくありません。グラフィックデザインとサイバーセキュリティに強いブランドを築きたいのです」と付け加えた。

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元CEOであるシュミット氏は、HPFの創設者マドセン氏とビジネス界で知り合い、現在ではITアカデミーの推進力となっている。彼は最新のトレンドや数字を挙げながら、次の10年に向けたビジョンを熱心語ってくれた。

シュミット氏は、レベル1を卒業すれば、地元の人々が銀行やその他のオフィスで働いて得られる平均的な月給が200ドルであるのに対し、500ドルを稼げる可能性があると見積もっている。また、グラフィック・デザインやサイバー・セキュリティのレベル2、3を習得すれば、月収は1,000~2,000ドルになると彼は予測している。

現在、HPFは授業料を補助しており、学生はコース費用の15%、約5,000ルピーを支払うことになっている。シュミット氏は、彼の個人的なネットワークの寄付者が今年の最初の100人の学生に対して残りの金額(1人あたり約500ドル)をカバーしていると語った。次の学期では、スポンサーが1人あたり1,500ドルを提供し、各学生にラップトップPCを購入するのに十分な額を提供してくれることを期待している。

熱心で人脈の広い元CEOである84歳のシュミット氏は、自身のネットワークに卒業生をインターンとして受け入れるよう呼びかけており、ワールドリンク社に光ファイバーインターネットを無償で提供するよう説得した。

シュミット氏は、学生たちがグローバルに競争力を持つようになるには英語力を含めたスキルを徐々に向上させる必要があると語った。アカデミーは初期段階でアジアでの仕事経験に焦点を当て、既にシンガポール、ベトナム、インドネシアの企業でバーチャルインターンシップをアレンジしている。

アカデミーの10項目からなるマニフェストによると、家庭を持ちながらフリーランサーとして働き続けることができる女子学生を訓練することも目指している。学生の60%が女性であり、アカデミーの責任者であるバサンタ・パルンワ氏は、女子学生は忍耐強いこともあり、よりクリエイティブなデザインをすると語った。

アカデミーはまた、ネパール北東部の人里離れたこの一角のコミュニティをデジタル化し、参加させることも目指している。一般市民を対象としたスマートフォンやタブレット端末の使い方講座も計画されており、WorldLink社は間もなく無線LANホットスポットを設置する予定だ。また、ITに関心のない人々のための職業訓練も計画している。

HPFが支援するタプレジュンの中等学校では、年間約1000人の生徒が卒業しているが、ITアカデミーが受け入れることができるのはその半分以下だ。

Photo: MARTY LOGAN

シュミット氏は、「彼らはいい学校に行ったのに、卒業しても将来が見えないことに不満を感じているのかもしれません。ですから、労働市場につながるようにする必要があるのです。」と語った。

卒業後、ダンバー・マデンさんはデンマークの旅行代理店ブックムンディのために毎日4時間のフリーランスの仕事をしてきた。1年間のインターンシップを経て、彼は最近ジュニアグラフィックデザイナーに昇進した。

過去1年間は、カトマンズを拠点とするオンラインビジネス、GenX Pharmacyのソーシャルメディア投稿のデザインも手がけている。また、前回の選挙に立候補した候補者など、地元のクライアントも抱えている。

地元出身の彼は、オンラインで自分の活躍の場を見つけたようだ。10年後の自分をどう見ているかと聞かれ、マデンさんは自信たっぷりに答えた: 「シニアデザイナーかアートディレクターです。」(原文へ

INPS Japan/Nepali Times

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