【ムンバイIPS=サンダヤ・スリニバサン】
2月18日、インド当局は、1月末の家禽類の大量死発生後、鳥のサンプルから病原性の高いH5N1型鳥インフルエンザウイルスが確認されたと発表した。西部マハラシュトラ州のナンドゥルバル地区の養鶏場ではこれまでにおよそ4万羽の鶏が死亡している。ラマドス保健相は2月20日、「事態は収拾され、人への感染は確認されていない」と国会で述べた。
州政府は、感染地区での40万から80万羽の処分とワクチン接種の計画を発表した。養鶏農家には鶏1羽当たり7〜14セントの補償が出るが、実際の養鶏経費70セントには大きく足りない。養鶏場の閉鎖に仕事を失った数千の労働者については、補償も発表されていない。養鶏場主らは、少なくとも500万ドルの損失と見ている。
報道によれば、鶏の処分に関するWHOの予防策は守られておらず、養鶏場労働者や環境に対する基本的な保護もないまま処分が行なわれているという。
一方National Egg Coordination Committeeの委員長であり、国内の農家に販売されているひよこの75%を供給するVenkateshwara HatcheriesのAnuradha Desai会長は、死因は人への感染のないニューカッスル病だと主張、85億ドル規模のインド養鶏業界は、政府の鳥インフルエンザの発表に異議を唱えている。
世界的に著名なウイルス学者T. Jacob John氏は、「当初ニューカッスル病と推測されていたため、予防策がとられなかった。ウイルスは地域に蔓延しており、人から人への感染も起こり始めるだろう。そうなれば、世界的な大惨事に直面することになる」と警告する。
ただ、ひとつの希望の兆しはインドの強力なジェネリック医薬品産業である。抗ウイルス剤タミフルの製薬特許を保持するスイスのロッシュ社は、インド企業ヘテロ社にライセンスを付与したが、他の2社シプラ社とランバクシー社も、ジェネリック版の製造を始めたもようである。シプラ社は、週当たり15万回分、1治療当たり25ドルで35,000人を治療できる量を製造でき、さらに、卸売価格16ドルで政府に供給する準備もあると述べている。ロッシュ社はインドで特許を出願しているが、政府はまだ付与しておらず、シプラ社をはじめ他社も、法的には深刻な問題なく製造できると自信を持っているようである。
世界第2位の鶏卵生産国であり、世界第5位のブロイラー生産国であるインドでの鳥インフルエンザの動向を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan