【メキシコシティーIPS=ディエゴ・セバジョス】
メキシコシティー議会は4月24日、妊娠12週間までの中絶を合法化する法案を可決。同法案は、民主革命党(PRD)のマルセロ・エブラルド市長の署名を待つばかりとなった。
投票に先立ちPRDメンバーのもとには電話/電子メールによる殺人予告や脅迫が相次いだという。エブラルド市長は、新法は堕胎を奨励するものではなく、闇手術による死亡や事故を防ぐためのものと語り、性教育や避妊方法の普及に努力していくと語っている。
しかし、市民投票を要求し7万人の署名を提出していたカソリック教会および保守派は、法案可決に猛反発。堕胎反対組織Comite Pro Vidaのリーダーは、「病院/診療所に押しかけ中絶手術を阻止する」と警告している。また、メキシコのアギーレ大司教も、堕胎を補助した者は全て破門すると発表している。
民間調査会社および全国紙が行った世論調査によると、首都住民の過半数は中絶合法化を支持している。(反対は約40パーセント)
保守の国民行動党(PAN)のカルデロン政権は堕胎に反対しているが、政府スポークスマンは新法を尊重すると発言。しかし、PAN幹部は最高裁への異議申し立てを行う旨明らかにしている。
メキシコでは強姦による妊娠、母体の危険を除き中絶は犯罪であり、1-6年の懲役と定められているが、年間100万件といわれる施術にも拘らず、2000-2006年の逮捕者は僅か28人となっている。
WHOによれば、国連加盟193カ国の内188カ国が母体の健康を考慮した中絶を認めており、理由の如何に拘らず禁止しているのはチリ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、バチカンのみという。ラテンアメリカでは、中絶が認められているのはキューバとガイアナのみ。しかし、同地域では毎年約4百万人が中絶手術を受けており、5千人が死亡。30-40パーセントが重度の合併症に苦しんでいるという。首都メキシコシティーの左派市議会が可決した妊娠中絶合法化法案について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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