【国連IPS=イダ・カールソン】
「目標の2015年まで半分を過ぎたが、とりわけアフリカに関して、目標を達成できそうにないことは明らかだ」―ミレニアム開発目標(MDGs)に関してこういうのは、国連の潘基文事務総長である。MDGsの第6目標では、HIV/AIDS、マラリア、その他の疾病の蔓延を食い止めることが謳われている。
国連の統計では、2007年だけでも、サハラ以南地域において160万人がエイズのために死亡している。感染者も2250万人いる。
アフリカのエイズ問題に関する元国連大使のスティーブン・ルイス氏は、国連によるエイズ対策がきわめて不十分だと批判する。メキシコシティで8月に開かれた国際エイズ会議のスピーチで、「薬の値段が高いとか、経済的な問題があるから先進国は十分に支援できないとか、そんなことをわめいている暇はない」とルイス氏は述べた。
問題はコストだけではない。「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のジョセフ・アモン氏によると、薬へのアクセスを妨げる国内規制、国内で移住する感染者を十分支援できないことなどの問題があるという。
アモン氏は「目標を達成できていない国々に対して、国連はもっと注文を付けてほしい」と話す。たとえば、ガンビアでは、抗レトロウィルス薬を使わずに役に立たない治療法を政府が押し付けているという。当初、国連はこうしたやり方に抗議していたが、結局国内から追い出されてしまったという。
他方で、対策の進展が見られる国もある。ナミビアでは、治療を受けている患者は2003年にはわずか6%だったが、2007年には57%にまで拡大した。ルワンダでも、2007年には患者の60%以上が抗レトロウィルス薬を利用している。
9月25日には、国連事務総長が主催して、MDGsの実現に向けたハイレベルの会議が開かれる。約100ヶ国から元首が参加する予定だ。
世界のHIV/AIDS対策の現状を検討する。
翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩
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