【国連IDN=アントニオ・グテーレス】
世界は、人権における未曽有かつ相互に連鎖する課題に直面しています。
飢餓と貧困が拡大しています。これは、何億もの人々の経済的・社会的権利に対する侮辱です。
シビック・スペースが狭められています。 世界のほぼすべての地域で、報道の自由とジャーナリストの安全が危険なほどに低下しています。
特に若者たちの間で、制度に対する信頼が失われつつあります。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、女性と女児への暴力のレベルが上昇しています。
人種主義、不寛容、差別が蔓延しています。 気候変動、生物多様性の喪失、汚染という地球の三重の危機から、人権をめぐる新たな課題が浮上しています。
また私たちは、一部のニューテクノロジーが人権に及ぼす脅威をようやく理解し始めたばかりです。
こうした試練の時代において、私たちは、市民的、文化的、経済的、政治的、社会的権利を含むあらゆる人権に対する決意を新たにしなければなりません。
私が2020年に立ち上げた「人権のための行動呼びかけ」では、私たちが直面する課題の解決策の中心に、人権を据えています。
このビジョンは、人権に根差した新たな社会契約の導入を求める、『私たちの共通の課題(Our Common Agenda)』に関する私の報告書に反映されています。
来年迎える世界人権宣言の75周年を、行動の機会としなければなりません。 私は、加盟国、市民社会、民間セクターなどに対して、悪影響をもたらしている今日の傾向を反転させる取り組みの中心に人権を据えるよう要請します。
人権は人間としての尊厳の基礎であり、平和で包摂的、かつ公平・平等な繁栄する社会の礎です。 人権は、求心力であり、団結のための掛け声です。
人権は、私たち共通の人間性という、私たちが共有する最も基本的な部分を反映しています。 今年の「人権デー」にあたり、私たちは、すべての人々の人権を擁護するとともに、あらゆる権利の普遍性と不可分性を再確認します。(原文へ)
関連記事:
|世界人権宣言70周年|青年フォーラム、人権の今日的意義を問う
|人権|「デジタル技術とソーシャルメディアが、かつてないほどヘイトスピーチを助長している」と国連の専門家が警告(アイリーン・カーン表現の自由に関する国連特別報告者インタビュー)