【アブダビWAM】
「日本は、アラブ首長国連邦(UAE)との二国間関係を、従来の商業的側面に限定されたものから、各々の長期目標を達成するうえで両国が協力し合える共通戦略を踏まえたものへと発展させようとしている。この点に関して、5月1日と2日に行われた安倍晋三内閣総理大臣によるUAE公式訪問はこのプロセスを大きく後押しする重要な機会となった。」とUAEの英字日刊紙が報じた。
ガルフ・ニュース紙は5月4日付の論説の中で、「安倍総理はUAE首相でドバイ首長のムハンマド・ビン・ラーシド・アール=マクトゥーム殿下と2日に会談し、包括的協力強化を盛り込んだ共同声明を発表した。省エネ、インフラ整備などで協力を強化する他、投資拡大の基盤となる租税条約とともに、日本の原子力発電施設の輸出を可能にする原子力協定(福島原発事故後日本が調印するのは初めて:IPSJ)に調印した。」
「原発施設は長年に亘って稼働させるためこの分野における協力関係は長期的な性格を有するものでなければならない。従って、この商取引が合意されたということは、両国間に深い戦略的な信頼関係があることを物語っている。」
「また安倍総理は、アブダビ首長国皇太子で連邦軍副最高司令官のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下とも会談し、外務・防衛当局間で、安全保障対話を創設することで合意した。これは両国の関係強化を図るうえで有益かつ具体的な措置である。日本とUAEは、一旦共通点を見出せば、互いに相手を強力に支援できる立場にある。」と同紙は報じた。
また同紙は、「湾岸アラブ諸国と日本の間には、これまでほとんど文化交流がなく、相手に対する理解は乏しく、共通の文化的基準もさしてない現状は残念である。このことは両国が地理的に遠くかけ離れており、例えば、日本が懸念を抱く東シナ海の問題にUAEの関心は高くなく、逆に湾岸地域や中東の諸問題について日本がUAEを支援することに積極的な関心を示さないなど、地域的な関心についてあまり共通点がなかったことも起因していると考えられる。」
ガルフニュース紙は、「従って、安倍総理の今回の訪問は、こうした両国間に横たわる政治文化のギャップを埋め、重要な通商パートナーとして、将来にわたって息の長いより戦略的な関係を構築していくうえで重要な機会となった。」と結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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