【アブダビWAM】
「イスラエルは、米国が仲介している中東和平交渉を隠れ蓑にして、とりわけ占領下のエルサレム及びその周辺地域において、違法なユダヤ人入植地建設を継続しており、ジョン・ケリー国務長官による和平努力を意図的に妨害している。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が報じた。
従って、「多くのパレスチナ人が、ケリー長官がマフムード・アッバスパレスチナ自治政府大統領に提示した和平交渉の指針を盛り込んだ「枠組み合意」案を、イスラエルとの最終合意の基礎にはなりえないと感じているのは驚くに値しない。なぜならこの枠組み合意案には、パレスチナ人の持つ正当な権利について十分な考慮がなされていなからだ。」とガルフ・ニュース紙は2月22日付の論説の中で報じた。
米国務省は、ケリー・アッバス会談を「建設的なものであった」と評したうえで、「両者は今後数週間に亘って連絡を取り合っていく」と発表した。昨年2月に国務長官に就任したケリー氏は、イスラエルとヨルダン川西岸地区(ウエストバンク)に頻繁に足を運び、昨年7月にはそれまで3年間に亘って途絶していたイスラエルとパレスチナ間の和平交渉の再開(ただし交渉期限は今年4月までの9カ月)に漕ぎつけた。この1年間における中東訪問は実に11回に及ぶ。
またガルフ・ニュース紙は、パレスチナ人は、イスラエル当局により、財産の破壊、強制退去などいくつかの方法で、不当な扱いを受けてきた、と付け加えた。国連人道問題調整事務所(UNOCHA)によると、2013年にはウエストバンク(C地区と東エルサレム)でパレスチナ人所有の家屋が破壊され新たに1100人のパレスチナ人が強制退去を余儀なくされるなど、強制退去の被害者は前年比で25%増加した。さらにこれらの地域では2014年になってからも、パレスチナ人所有の100の建物が破壊され、100人の子どもを含む180人以上のパレスチナ人が強制退去させられている。
こうしたなか、アイルランドでは138人の学術関係者が、イスラエルが国際法を順守するようになるまで、学術分野でのイスラエルとの交流を拒否(ボイコット)する内容の誓約書に署名した。2月20日に発表された同誓約書には、「私たちは、パレスチナの市民団体からの呼びかけに応え、イスラエルが国際法と人権の普遍的原理を順守するようになるまで、イスラエルの学術関係者、研究機関、政府組織、及び関連機関と職業上関わらないことを誓います。」と記されている。しかしイスラエルはこの呼びかけに注意を払うことを拒否している。
「たとえ平和的な解決策についてイスラエル・パレスチナ間の合意が可能だとしても、それは国連決議並びにパレスチナ指導部とアラブ連盟の立場を基礎にしたものでなければならない。つまり和平合意には、①東エルサレムを首都とし、1967年時点(第三次中東戦争前)の国境線に基づくパレスチナ独立国家の設立、②パレスチナ難民問題の公正な解決(帰還権を認めること)、③ユダヤ人入植地建設の即時停止、が含まれるべきである。」とガルフ・ニュース紙は報じた。
また「米国政府は、イスラエルに対して、強引に圧力を加えたり意図的に妨害しても和平プロセスを進展させることは出来ないと告げることに躊躇すべきではない。」とガルフ・ニュース紙は結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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