SDGsGoal3(全ての人に健康と福祉を)喫煙者は減少傾向にあるもののなお数百万人の命が脅かされている

喫煙者は減少傾向にあるもののなお数百万人の命が脅かされている

【ジュネーブIDN=ジャムシェド・バルーア】

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界に深刻な混乱をもたらす中、世界保健機関(WHO)は公衆衛生分野で明るいニュースを示した。WHOの報告書「世界たばこ流行報告書2021(Global Tobacco Epidemic 2021)」によれば、国連の持続可能な開発目標(SDGs)3「すべての人に健康と福祉を」の達成に向け、前進がみられるという。

同報告書は、2015年以降に発表されてきたシリーズの第4弾で、11月16日に公表された。報告書によると、WHOの「非感染性疾患(NCD)予防・管理のための世界行動計画(2013~2020年)」に基づく、たばこ需要削減策のうち、少なくとも1つを最高水準で実施している国は146カ国に達した。

報告書はまた、150カ国でたばこ使用率が低下していることを示した。このうち60カ国は、2025年までに使用率を30%削減するという任意目標の達成に向け、順調に推移している。2年前の時点で達成ペースにあった国は32カ国にとどまっていたが、今回は増加した。

具体的には、世界のたばこ使用者数は減少を続け、2015年の13億2000万人から、2020年には13億人へと減った。2025年には12億7000万人まで減少すると見込まれている。

WHOのテドロス・アダノム事務局長は、こうした数字は心強いとしつつ、「まだ道のりは長い」と強調した。「たばこ企業は、死をもたらす製品を売って得る巨額の利益を守るため、あらゆる手段を使い続けるだろう」と述べた。

WHOによると、最近の証拠から、たばこ産業がCOVID-19のパンデミックを利用し、80カ国で政府への影響力を拡大していたことが明らかになっている。報告書は加盟国に対し、「たばこの規制に関するWHO枠組条約(WHO FCTC)」に基づく措置の実施を加速するよう求めた。

WHO健康増進部門のルーディガー・クレヒ部長は、進展の背景としてWHO FCTCに沿った政策を挙げる一方、その成果は「脆弱だ」と指摘した。「たばこ対策が有効であることは明らかであり、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、より踏み込んだ行動を取ることは、人々に対する道義的責任だ」と述べた。

同時期に公表された「禁煙に関するWHO世界投資ケース(Global Investment Case for Tobacco Cessation)」は、禁煙支援への投資の重要性も訴えている。それによると、各国が無料の禁煙電話相談窓口やSMS支援などに、1人当たり年1.68米ドルを投資すれば、2030年までに1億5200万人のたばこ使用者が禁煙に成功する可能性があるという。

これらの報告書と投資ケースは、「たばこ製品の不法取引を撲滅するための議定書(Protocol to Eliminate Illicit Trade in Tobacco Products)」の締約国会議(COP)第9回会合の直後に発表された。

報告書の主な所見として、昨年、世界人口の22.3%がたばこを使用していたことが挙げられる。内訳は男性が36.7%、女性が7.8%だった。さらに、13~15歳の子ども約3800万人が現在たばこを使用しており、女子が1300万人、男子が2500万人に上る。未成年者の購入は違法であるにもかかわらず使用が続いており、目標は「子どものたばこ使用者ゼロ」の実現だ。

地域別にみると、上位中所得国で進展が最も遅い。一方、29カ国ではデータの質が低い、または不十分であり、傾向を正確に把握するには、さらなる監視が必要だという。WHOによれば、たばこは使用者の最大半数を死に至らしめ、年間800万人を超える命を奪っている。

WHOの世界的傾向報告は、最も急速な低下がみられるのは南北アメリカ地域だと指摘する。同地域では、平均使用率が2010年の21%から、昨年は16%へと下がった。

アフリカ地域では15%から10%へ低下し、引き続き最も低い水準にある。欧州地域では、女性の18%が依然としてたばこを使用しており、これは他のWHO地域に比べて大幅に高い。一方、欧州以外の地域は、女性の使用率を2025年までに少なくとも30%削減する軌道にある。

東南アジア地域は、人口の約29%に当たる約4億3200万人が使用しており、地域別では最も高い水準にあるが、減少のペースも最も速い。

また報告書は、西太平洋地域が、今後、男性の使用率が最も高い地域になると予測している。指標によれば、2025年になっても男性の45%超がたばこを使用している可能性がある。

WHOによると、たばこによる死者は年間800万人を超える。このうち700万人以上は喫煙が直接の原因で、残る約120万人は受動喫煙によって命を落としている。(原文へ)

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