【コロンボIPS=フェイザル・サマト】
クウェートとスリランカの公認職業斡旋業者の2団体―「クウェート・スリランカ人材福祉協会」(SLMWAK)と「スリランカ公認外国雇用斡旋業者協会」(ALFEA)―が4月中旬、移民労働者の安全と福祉を守るための方法を講じることを約束した覚書を調印した。
はたしてこの協定は、クウェートにおいて深刻な虐待に遭っている家事使用人を保護するだろうか。
移民労働者の福祉のために活動するスリランカの団体のひとつ「移民労働者のためのアクション・ネットワーク」(ACTFORM)のコーディネーター、ヴィオラ・ペレラ氏は、職業斡旋業者の下請け業者が公認組織となり、説明責任を負うようにならないかぎり、問題は存続すると言う。
ペルシャ湾岸諸国に働く150万人のスリランカ移民のおよそ70%が家政婦として働く未熟練女性労働者である。スリランカにとって彼女らからの送金が衣料品輸出に次ぐ外貨取得手段となっている。
しかし彼女らは労働、社会、健康保護の法律や政策の対象から疎外されている。週1日の休みも、標準労働時間も、労災補償も、最低賃金も認められず、家に閉じ込められている。法的保護の欠如は、性的虐待、暴行、拷問などの数多くの人権侵害を生んでいる。
スリランカ政府は、女性移民の安全への脅威と社会的影響を懸念して未熟練労働者の海外への出稼ぎを食い止めようと圧力をかけている。しかし、政府の管理下にあり、ライセンスの剥奪や契約違反の処罰の対象となるのは、公認の職業斡旋業者だけだ。公認業者は、労働者の供給を下請け業者に頼っているのが現状である。
ペレラ氏はまた、未熟練女性の海外での求職禁止は憲法で認められている移動の権利の侵害になるとしている。
はたして誰の利益が保護されることになるのか。クウェートで家事使用人として働くスリランカ女性の権利保護の問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩