【ベイルートIPS=シンバ・ルソー】
1948年のイスラエル建国以来、レバノンに逃れたパレスチナ難民は変わることなく差別、疎外を受けている。12ヶ所のパレスチナ難民キャンプはインフラが未整備で、40万人難民の半数が過密、貧困、高い失業率の問題に直面している。
アムネスティ・インターナショナルはベイルートで行われた記者会見において、パレスチナ難民もレバノン国民と同様の基本的人権を享受できるようにすべきだとして、経済、社会、文化面の差別を迅速に排除するよう求めた。
アラブ連盟の加盟国であるレバノンはパレスチナを承認しているが、労働関係では互恵主義を法制化しており、国家を持たないパレスチナ人がレバノンで就職する際の障害となっている。2005年にレバノン政府は50職種をパレスチナ人に開放したが、実際に就労許可を得た者は数えるほどである。
レバノン北部のパレスチナ人難民キャンプ「ナール・アルバレド」では5月20日から9月2日までレバノン軍とスンニ派イスラム集団ファタハ・アルイスラムが衝突、少なくとも400人の死者が出たうえ、インフラ、上下水道が破壊された。レバノン軍による虐待を恐れて、近くの「バダウィ・キャンプ」に流れた難民も多い。セニオラ首相はキャンプ再建のために国際社会に4億ドルの寄付を求めている。
根本的な問題は、レバノン軍および警察にあたる内務省警察軍がパレスチナ人を脅威ととらえていることだとレバノンのバラマンド大学ラニア・マスリ助教授は指摘する。ファタハを難民キャンプに引き入れたのがパレスチナ人だと非難する人は多い。
レバノン在住のパレスチナ難民の人権問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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