【ギバラ(キューバ)IPS=ダリア・アコスタ】
9月8日から9日にかけて、キューバ東部をハリケーン「アイク」が襲った。キューバ政府によると、海岸沿いのギバラ地区では、暴風によって海水が陸上を1000mも浸して、砂浜を破壊し畑を水びたしにした。サンゴ礁すら揺れていたという。
「アイク」の被害にあった多くの人びとは、1963年にキューバを襲い1000人以上の命を奪ったハリケーン「フローラ」よりもアイクの方が強烈だったと証言する。
今回は政府が数十万人に対して早期の避難を呼びかけていたため、死者はわずか7人ですんだ。しかし、多くの人びとが家を失う結果となった。ホルギン州では海岸沿いの11地区中7地区が完全に消失した。
ギバラでは、2万5400棟の家屋のうち、1万9000棟以上が全壊ないし半壊した。住民の感情は複雑だ。タニア・ベラスケスさん(36)のように海岸から遠い市内に新しい家が欲しいという人もいれば、ラウル・プポさん(42)のように、再度被害にあう可能性があっても住み慣れた海岸沿いに住み続けたいから、政府にはとにかく家を修復するための資材だけでも供給して欲しい、という人もいる。
多くの避難民は、いまだに一時避難所で生活している。その多くが政府施設だ。人びとはここで、食事と医療サービスを無料で受け取ることができる。
政府は、避難民を早く元の生活に戻すためにいくつかの策を講じている。たとえば、家屋を修復するための資材は、アスファルトの屋根が1平米あたり4キューバペソ、セメントが1袋あたり4.5ペソ、砂1立方米あたり9ペソと廉価で供給されている。貯蓄人民銀行による融資については、政府が金利を負担している。
しかし、ギバラ防衛協議会のローザ・マリア・レイバ会長は言う。「多くの人びとが1年か2年は待たねばならないだろう……重要なのは誰も見捨てられないことだ」。
ハリケーン「アイク」被害から立ち上がろうとするキューバの人びとについて伝える。
翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩
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