ニュース|平和首長会議|核戦争は現実に起こりうるものでありその危険性は増している

|平和首長会議|核戦争は現実に起こりうるものでありその危険性は増している

【広島IDN】

来年1月のニューヨークでのNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議の開催に先立ち、国際的NGOであり8,059の加盟都市から構成される平和首長会議を代表し、ここに見解を表明します。

この会議に臨む全ての参加者に対し、まずはこの条約の背景にある史実を改めて重く受け止めるよう要請します。広島・長崎への核兵器の使用は、壊滅的な人道上の結末をもたらしました。

このような第二次世界大戦を国際連盟が回避できなかったという反省から、時の為政者たちは国際の平和及び安全を維持することを目的として国際連合を設立しました。国連総会の第1号決議は核兵器廃絶を国連のゴールと定め、その目標が1970年のNPTの発効により締約国に課される法的義務となりました。

私たちは、近年の情勢がこの条約が掲げる重要な軍縮目標、特に条約第6条が定める目標の達成を著しく阻害していることに対し、以下のとおり深い懸念を表明します。

  • 新たな核兵器の軍拡競争が繰り広げられ、核保有国間の緊張はこの数十年間で最も高まっています。こうした状況にあっては、偶発的に、又は事故により、あるいは意図的にせよ、核戦争は現実に起こり得るものとなっており、その危険性は増しています。このような緊迫した状況は、冷戦以降、最も高いレベルにあります。
  • この条約が締約国に対して誠実に核軍縮交渉を行うことを義務付けているにもかかわらず、条約発効から51年もの年月が経過しても未だにNPTが定義する5つの核兵器国は核兵器廃絶に向けた交渉を共に始める計画すら立てていないことに落胆しています。
  • 世界がパンデミックによる甚大な被害と世界規模の経済混乱に直面する中、人類の基本的なニーズや都市が抱えている課題への対応が蔑ろにされる状態が続いている一方で、巨額の軍事費は増加し続けていることに、深く失望しています。

このような懸念を受けて、私たちは原点に立ち返り、人類が理想とする核兵器のない平和な世界を追求するために、連帯責任を負っていることを再確認しなければなりません。今こそ行動を起こすべき時であり、最も必要とされることをここに示します。

UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
  • 締約国に対し、壊滅的な人道上の被害をもたらす核兵器の本質を捉え、再検討会議においてそうした核兵器の定義を議題とすること、また、そのような非人道性について啓発活動を通じて市民に周知することを緊急の優先課題とするよう強く推奨します。
  • 条約(第6条・前文)や、1995年の再検討・延長会議及び2000年・2010年の再検討会 議において全会一致(コンセンサス)で採択された最終文書に盛り込まれた軍縮に関する全ての合意事項を再確認することを求めます。さらに、締約国に対し、期限を定めた上でこれらの合意事項を履行するための具体的措置を講じることを共同で誓約するよう求めます。
  • 締約国に対し、危険かつ道徳に反する核抑止論の推進が、この条約の今後の展開、特に条約第1条 及び第6条の規定の運用に対し与える影響について、精査するよう要請します。技術革新により、 核兵器と核抑止論は人類にとって更に大きな脅威となっており、核兵器と関連する政策について包括的な議論を行うことは、再検討会議で長年実施できていない責務であると考えます。
  • 核兵器のリスク低減措置は、それが具体的な軍縮の進展につながって初めて正当なものとなると考えます。本年12月2-3日にパリで開催されたP5会合での共同声明に言及されている、核兵器国による核兵器使用のリスク低減に向けた取組が実質的かつ具体的に進められることを求めます。
  • 締約国に対し、条約第6条が課す核軍縮の誠実交渉義務の完全な履行には核兵器禁止条約の禁止規範が必要不可欠であること、また、両条約は完全に互換性があり、相互に補完し合うものであると認識するよう要請します。

平和首長会議は、締約国が今回の再検討会議においては、最終文書の合意に至ることができると期待しています。私たちは、今後もNPTに対するたゆまぬ確固たる支持を表明し、人類の未来を明るく照らすためにも、締約国が旧態依然としたしがらみから抜け出し、来る再検討会議が成功裏に終わるよう、祈念します。(原文へ

*平和首長会議が発表した公開書簡のテキストである。

INPS Japan

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