【ドバイIPS=ミーナ・ジャナルダン】
5月にイランのアフマディネジャド大統領がアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した頃、UAEのシャルジャー(7つの首長国のうちのひとつ)では、イラン芸術フェスティバルが開かれていた。絵画、映画、写真、彫刻、音楽、舞台などさまざまな分野の芸術作品がイランから出された。
湾岸協力会議(GCC、加盟国:サウジアラビア、クウェート、バーレーン、カタール、UAE、オマーン)は、1979年のイスラム革命以来、イランに対する恐れを持っている。イランとUAEは、イランが1971年に占領した3つの島(アブムサ、大タンブ、小タンブ)をめぐって長年にわたって領土紛争を行っている。また、自国の核計画をめぐって軍事攻撃の脅しを米国からかけられているイランは、湾岸諸国にある米軍基地に対して報復するとして、湾岸諸国を恐れさせている。
しかし、今回行われている芸術フェスティバルは、芸術の力を借りて、こうした緊張関係を解きほぐそうとの試みだ。そもそも、UAEには40万人のイラン人が住んでいるし、両国間の貿易も2006年には110億ドル規模に達しており、緊張緩和にいたる素地はある。
米国の世論調査機関「ゾグビー・インターナショナル」が昨年11月から12月にかけて行った世論調査でも、民衆レベルでは湾岸諸国間に不信感が少ないことがわかっている。イランが主要な脅威であると答えた人はわずか6%に過ぎなかった。他方で、約80%の回答者が、イスラエルと米国が2大脅威であると回答した。
イランへの脅威認識を取り除く芸術フェスティバルについて伝える。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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