【ガザ地区ベイト・ラヒヤIPS=モハメッド・オメール】
ガザは、肥沃な土地と豊かな光・雨により、世界有数のイチゴの産地として知られ、その品質の高さからヨーロッパの一流レストランで使用されてきた。しかし、ハマスの勝利以来、米国の支援を得たイスラエルは、23マイルの国境線および地中海沿岸を封鎖。これにより、ガザで栽培される花々、イチゴは流通の道を閉ざされてしまった。
国境の町ベイト・ラヒヤは、イスラエルのシデロットから僅か数マイル。イスラエル軍は、侵入して来てはロケット砲が隠されていると思しき場所をブルドーザーで破壊する。破壊した後で、もしロケット砲が発見されなくても、補償金を支払うことはない。
栽培農家のアーメド・フェルフェルさんは、「死んだも同然だ。灌漑システムや温室、機材は、イスラエルの戦車やブルドーザーでめちゃくちゃにされた」と語る。同家の損失は35,000から45,000ドルに達する見込みだ。
ガザ内6,000戸のイチゴ農家の年間生産は約2,000トン、売上総額は約1千万ドル。通常であれば、その3分の2はイスラエルが50パーセント所有する青果物取引所アグレックスコを通じ出荷される。イスラエルは、昨年11月、花についてはトラック2台、イチゴについては6台の通行を認めたが、再び閉鎖を行った。ガザ農業協同組合のアーメド・アル・シャフィ会長は、昨年12月にはカレム・シャロム通行所での留め置きで、12トンのイチゴが腐ってしまったと語っている。
ガザには空港も港もあるのだが、イスラエルがその使用を阻止している。また、エジプトに通じるラファ検問所も、米国の圧力を受けたエジプト政府がその使用を禁じている。
欧州市場は、ガザの商品が入らなければ他の輸入先を探すだろう。ガザにとって、これは長期的被害を意味する。また、優秀農家はエジプトへ逃げだしており、これまで蓄積してきた生産ノウハウを失うことにもなりかねない。
今年は、保守ユダヤ教徒が、非ユダヤ教徒が生産した食べ物を食する7年に1度の“シミタの年”に当たる。ということは、少なくとも、この国境閉鎖は、イスラエルの伝統にも反することになる。国境閉鎖で壊滅的被害を受けている“ガザのイチゴ”について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩