【アブダビWAM】
「エチオピアは5月28日、巨大ダム建設のために、青ナイル川の流れを変える作業を始め、セレモニーを行った。しかし、この世界最長の国際河川を一カ国が独占することは許されることではないし、流れが変わればナイル川流域に暮らす多くの住民が直接的に影響を受けることから、流域7カ国政府は、紛争を回避するためにも、一刻も早く集まり、この問題について真剣に協議すべきである。」とアラブ首長国連邦(UAE)の地元英字日刊紙が報じた。
ドバイに拠点を置く「ナショナル」紙は、論説のなかで、「エチオピア政府の一方的な決定により、下流のエジプトとスーダンの経済と社会秩序が寸断される恐れがある。」と報じた。
「アフリカの北東部に位置する両国は広大な乾燥地帯と大きな人口を抱えた隣国である。従って、水はこの地域の最重要資源として、友好的に分かち合わなければならない。さもなければ水を巡る隣国間の紛争へと必然的に発展していくだろう。」
また同紙は、「エチオピアはナイル川を構成する2つの支川のうち同国を源にする青ナイルへのダム建設を計画しており、エジプトとスーダンはその影響を最も受けることとなるだろう。」と報じた。
「エジプト政府は、エチオピアの措置によってナイル川から取水できる量が減れば、農業に悪影響を及ぼし、水不足がさらなる社会不安を増幅する事態を恐れている。」
一方、エチオピアを含むナイル川上流に位置する5カ国(エチオピア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニア)は、英国統治時代に定められたナイル川の取水割合の90%を下流のエジプトとスーダンに振り分ける協定は植民地時代の遺物とでも言うべきものだとして、上流諸国への分配量を増やすよう要求を強めている。
「確かに8300万人の人口を抱えるエチオピア(しかも世界最長の川であるナイル川の水量の84%は同国を水源としている:IPSJ)に正当な取水量を認めないままにすべきではないだろう。」
「ザ・グレート・エチオピアン・ルネッサンス・ダム」という豪奢な名称が物語るとおり、この水力発電ダム計画は、エチオピアの地位を再び東北アフリカで秀でたものへと復活させようとする国家計画の一部である。またこのダム建設計画は、アフリカでトップクラスの電力輸出国を目指すエチオピア政府が、国内各地の河川の力を利用しようと進めている大規模な開発計画の第一弾に位置付けられている。」とナショナル紙は報じた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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