【カトマンズIPS=マーティ・ローガン】
ギャネンドラ国王による王政打倒を目指す民衆たちは、街頭で警官隊と衝突している。これまでに数千名という人々が逮捕された。しかし、人々の目に触れにくいところでも闘いは続けられている。
ひとつの焦点はメディアだ。カンティプール出版が保有する『カトマンズ・ポスト』紙が国王に批判的な記事を掲載する一方、国有の『ライジング・ネパール』紙オンライン版のトップ記事は、ギャネンドラ国王が、シリア国民の祝日にあわせて、同国のアサド大統領にメッセージを送ったというものであった。
また、「カンティプールTV」では、デモ隊に乱暴狼藉を働く警官の映像を繰り返し流している。他方で、国有の「ネパールTV」は、街角を警備する警察・軍の様子や、反体制派に批判的な人々の声を放送している。
4月9日、ラナ情報相は、ジャーナリストたちに対し、「報道機関は今、ネパールには自由がないと叫んでいる。しかし私は生命を守ることがもっと重要だと思う」と告げた。そして13日、ラナ情報相は、主要なケーブルテレビ局に対して、カンティプールTVの番組を放送しないよう要請したのである。しかし、これに応じたのはわずか1局のみで、しかも数時間だけであった。
また、警官隊との衝突で怪我をした人々に対する救急医療体制も問題となっている。現在、怪我をした人々の治療のための資金として、すでに1000万ルピー(13万8,000ドル)が集まっているという。オム病院では、抗議活動で怪我をした人は無料で治療を受けられる。
他方で政府は、救急医療を行なっていた2人の外国人医師を、労働ビザの不所持を理由に国外追放処分にするという挙に出ている。
ネパール民主化闘争のさまざまな側面について伝える。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan