【カトマンズIPS=レニュー・クシェトリー】
カマラ・リンブの夫は毛派の活動家だったが、2001年に治安部隊によって拉致された。それ以来、彼の行方は知れない。しかも、拉致されたこと自体を証明できないために、本来なら受け取れるはずの救済金をもらうこともできずにいる。
14ヶ月前、ネパール平和省は、内戦の被害を調査するタスクフォースを立ち上げた。それによれば、内地難民が4万5801人、殺害された者が約1万5000人であった。
政府はこれらの被害者に対して救済金を給付することを決めた。これまでに、内地難民のうち2万7135人が救済金を受け取って、元々住んでいた場所に戻った。他方で、殺害の場合については、わずか4遺族が補償を受け取ったに過ぎない。
問題は、この救済金給付が、非毛派関係者に著しく偏っているということだ。ネパールではいまや毛派が政権に就いているが、状況はそれほど変わっていない。というのも、旧来からの行政メカニズムはいまだに存続しているからだ。
ネパール西部のパルバット地区では、毛派関係者はまったく補償を受け取っていない。バンダリ知事は「毛派政党に被害者の名前を登録するよう呼びかけているが、それに全く応えていない」と語る。
しかし、毛派がゴーサインを出せば、毛派関係者による補償申請が殺到し、逆に非毛派関係者が差別されることになるのではないか、と政治評論家のムマ・ラム・カナルさんは懸念する。また別の政治評論家、シュヤム・シュレスタさんは、いまだ和平プロセスが進行中の現在においてそうした差別が発生すれば、紛争が再燃しかねない、と指摘している。
ネパールの毛派に対する紛争補償の問題を取り上げる。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan