【カトマンズIPS=マーティ・ローガン】
民政復帰したネパールの国会議員は5月18日、君主制を縮小し、国王の軍最高司令官の役割を剥奪する準備をした。下院宣言が予想通り採択可決されれば、世界最後のヒンズー王国は王室支配を初めて離れ、国王は王室ネパール軍の最高指揮権を失うことになる。
5月17日には、暫定政権のマハト外相が外交団と援助機関に「民衆の強い願望に応え、国王の従来の権限と特権は縮小されることになっている」と語ったと伝えられたが、その前日政界の長老が国王の軍最高指揮権は維持されるべきだろうと述べたと伝えられると、首都カトマンズでは抗議デモの群衆が集まり、若者のグループが数台の車を破壊し、交番を放火、夜遅くまで街頭を行進し、声を挙げた。
5月17日Subhas Nembang下院議長は、事態は鎮静化したとIPSの取材に応えて述べ、「国民は政府を支持し、政党を信頼している」と語った。だが多くの国民が、政権を握った主要7政党(SPA)に疑念を持っている。
国民の第一の要望は、ネパールの君主制の今後を決定することになる憲法を制定するための制憲議会の選挙である。共和制を求める声も大きい。
週始め、コイララ首相は、ネパールの「世俗国家」への転換を含む宣言をまもなく下院が提出すると約束した。だが、将来の国王の役割を含め、SPA内で意見の相違が表面化したため、宣言は18日まで延期を余儀なくされた。「明日(18日)には下院宣言が出される」と下院議長はIPSの取材に対し語り、宣言は「ネパールのマグナカルタ」になるとも言われていると言い添えた。
しかし皆が下院宣言の提出を確信しているわけではない。SPAのひとつ統一左翼戦線(ULF)の指導者Sitaram Tamangは、宣言の遅れについて人々は王室による陰謀を疑っていると述べている。彼は宣言の提出を求めて政治家に圧力をかけるため、17日に抗議デモの組織を手伝った。またネパール共産党毛沢東派は、主張を通すためはるかに暴力的な戦術を引き続き使うと報じられている。
国王の実権剥奪の下院宣言を待つネパールについて報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー:IPS Japan
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