SDGsGoal9(産業と技術革新の基盤を作ろう)ネパールは明らかになりつつある第四次産業革命の動向を注視している

ネパールは明らかになりつつある第四次産業革命の動向を注視している

【カトマンズIDN=マニシュ・ウプレイ】

2020年12月、ドミニカ共和国の元大統領で、「グローバル民主主義開発財団(Fundación Global Democracia y Desarrollo)」総裁を務めるレオネル・フェルナンデス・レイナ博士は、「4.0世界のグローバルおよび地域的課題」に関するビジョンを提示し、すべての市民に技術へのアクセスを保障する必要性を強調した。

この問題提起は、現在進行中の第4次産業革命がもたらす大きな構造変化を前に、国際社会に対して強い警鐘を鳴らすものである。

物理、デジタル、生物の各領域を融合させる新技術が人類社会に及ぼす影響は計り知れない。人々の生活様式、働き方、そして相互の関わり方は、大きく変化することになる。

人工知能(AI)、ナノテクノロジー、量子コンピューティング、ロボティクス、バイオテクノロジー、モノのインターネット(IoT)、3Dプリンティング、自動運転車といった新興分野は、第4次産業革命の中核をなしている。

国連工業開発機関(UNIDO)の『産業開発報告書2020』は、こうした新技術こそが、包摂的かつ持続可能な産業発展の成否を左右する核心にあると指摘している。新技術は新たな製品や技術革新を生み、それが新産業の創出と、それに伴う雇用や所得の拡大につながるという見方である。

しかし同報告書は同時に、第4次産業革命を牽引する先端デジタル生産(ADP)技術に直接関わる世界の特許の90%、輸出の70%を、わずか10カ国が占めていると指摘している。

先頭に立つのは米国で、アジアでは日本、中国、台湾、韓国、欧州ではドイツ、フランス、スイス、英国、オランダが名を連ねる。一方で、アフリカ、中東、南米からは一国も含まれておらず、世界の大部分が技術革新の恩恵から取り残されている現実が浮かび上がる。

こうした偏在は、先進国と途上国の間に深刻なデジタル格差を生みかねない。多くの途上国は必要な技術の導入に障壁を抱えており、それを克服するには国際的な支援と協調が不可欠である。

筆者らは、ネパールの元副首相ビマレンドラ・ニディ氏と会談した。ニディ氏は、2014年にドミニカ共和国サントドミンゴで開かれた「第1回デジタル創造産業セミナー」に関する報道に接して以来、この分野の進展を強い関心をもって追い続けてきたと語った。

ニディ氏は、進化する技術と第4次産業革命が、後発開発途上国(LDC)にとって大きな変革の可能性を秘めていると指摘する。先端技術へのアクセスが可能になれば、こうした国々の経済発展に飛躍的な変化をもたらし得るという見方である。

その一方で、地域の雇用に負の影響が及ぶ可能性も高い。産業や企業が自動化や高度技術の導入を進めれば、低技能労働は大きな打撃を受ける。労働市場の混乱は、格差の一段の拡大を招く恐れがある。

こうした状況は、ネパールやインドを含むあらゆる途上国にとって深刻な課題であり、とりわけ政治指導層に重い責任を突きつける。情熱と理念を欠いた政治が空虚であるのと同様に、最も脆弱な人々への配慮を欠いた政策もまた無力である。

南アジア地域の多くの社会はいまだ第3次産業革命の段階にあるとみられる。そのため、第4世代の技術を社会の主流に組み込み、イノベーションの恩恵をすべての人々の発展につなげていくことは、各国政府にとって極めて困難な課題となる。

変化への適応の鍵を握るのは教育である。ネパールやインドのような国々は、自国にとって有益な技術を活用できるよう、必要な知識と技能の育成に重点を置くべきである。それは統治の改善や業務の効率化、生産性と質の向上にもつながる。

これに加えて、各国政府は物理的インフラとデジタル・インフラの間に存在する大きな格差を縮小することを最優先課題の一つとしなければならない。そうした基盤整備があってこそ、進化する技術を吸収し、導入し、社会全体に広げていく能力を育てることができる。

さらに、官民対話(PPD)の恒久的な仕組みを整え、国際機関同士の実効的な連携を築くことも急務である。そうした枠組みは、ネパールを含む途上国が技術変化に適応するための能力強化に資する。

同時に、それは短期・長期の双方における費用や、金融、経済、社会への影響を途上国が見極めるうえでも重要な役割を果たす。

UNIDOが、特に後発開発途上国を含む途上国による技術革新の導入を支援するため、国際社会に即時行動を呼びかけていることは歓迎すべき動きである。国際的支援がなければ、低所得国はさらに立ち後れし、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成もおぼつかなくなる恐れがある。

第4次産業革命に伴う前例のない速度の技術変化は、統治、農業、保健、交通、通信、生産、流通、エネルギーなど、社会のあらゆる制度と分野に全面的な変革を迫ることになる。

中長期的には、それは新たな国際規範、ルール、基準、政策の形成にもつながっていくであろう。

第4次産業革命が、デジタル経済と地球規模の接続性の面で計り知れない恩恵をもたらすことは疑いない。だからこそ、政策立案者には、人材と技術が相乗的に機能し、人類の持続可能な発展と繁栄を支える政策を構築することが求められている。

ニディ氏はまた、マルセロ・E・デオクド博士と、ラテンアメリカ議会映像コミュニケーション協会(ALCAP)が、2021年3月31日にウクライナ政府文化省との協力協定を締結したことに祝意を示した。

ALCAPとウクライナ政府の協力は、パラグアイのウクライナ人コミュニティーを描くドキュメンタリー作品『Ukrainian Hearts』の制作につながる見通しである。この作品は、公共テレビと南米22の地域テレビネットワークで放映される予定だ。

また、南アジア地域協力連合(SAARC)創設時に合意された本来の協力分野の一つである「SAARC映像交流(SAVE)」に言及しつつ、ニディ氏は、今後ネパールとALCAPの協力が進むことで、南米諸国の議会関係者や市民に対し、ネパールの文化と伝統というソフトパワーを発信する一助となることへの期待も示した。(原文へ

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