SDGsGoal3(全ての人に健康と福祉を)大手タバコ産業が世界的な禁煙の取り組みに立ちはだかる

大手タバコ産業が世界的な禁煙の取り組みに立ちはだかる

【ワシントンDC IDN=マシュー・マイヤース】

世界保健機関(WHO)が公表した「世界のたばこ流行に関する報告書2021」は、各国がたばこ対策で一定の進展を遂げている一方、電子たばこや加熱式たばこなどの新たなニコチン・たばこ製品の拡大と、たばこ産業の介入によって、その成果が損なわれる危険が高まっていると警告した。

同報告書を受け、禁煙を推進する国際団体「キャンペーン・フォー・タバコフリー・キッズ(Campaign for Tobacco-Free Kids)」のマシュー・L・マイヤーズ代表は7月27日、新製品に対する規制の遅れが、世界的なたばこ流行終結への取り組みを後退させかねないと指摘した。

WHOによれば、世界では増税、屋内禁煙、警告表示、広告規制など、実証済みのたばこ対策を導入する国が増えてきた。しかし同時に、電子ニコチン送達システム(ENDS)を含む新製品が急速に普及し、とりわけ若年層を標的にしたマーケティングが深刻な課題となっている。

報告書は、一部の市場では約1万6000種類もの電子たばこ用フレーバーが存在し、その多くが子どもや若者に訴求する設計になっていると指摘する。ENDSを使用する子どもや若者は、従来の紙巻きたばこを使用する可能性が2倍以上高いとの研究結果も示された。

健康影響についても懸念は強い。循環器系や呼吸器系への悪影響、紙巻きたばこと電子たばこを併用する「二重使用」によるリスクなど、有害性を示す証拠が増えている。一方で、電子たばこが禁煙に有効であるかどうかについては、特に集団レベルでは結論が出ていないとされる。

規制の現状を見ると、ENDSの販売を全面的に禁止している国は32か国にとどまり、79か国が部分的な規制を導入しているに過ぎない。多くの国では、製品の成分表示、広告規制、フレーバー制限などが十分に整備されていないのが実情だ。

マイヤーズ氏は、「たばこ産業は、新製品を通じて次の世代をニコチン依存に引き込もうとしている」と指摘し、各国政府に対し、WHOの「たばこの規制に関する枠組条約(WHO FCTC)」に基づく実効的な対策を全面的に実施するよう求めた。

WHOは、従来型たばこ対策で得られた成果を守り、さらなる前進を実現するためには、新型たばこ・ニコチン製品を含めた包括的な規制が不可欠だとしている。若年層を中心とする新たな依存の連鎖を断ち切れるかどうかが、今後の世界の禁煙対策の成否を左右することになりそうだ。(原文へ

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