【アスンシオンIPS=デイビッド・バルガス】
パラグアイの「真実正義委員会」(CVJ)は、35年に亘り同国を独裁支配したアルフレード・ストロエスネルの時代に不法拉致された2000人の犠牲者および家族の証言収集キャンペーン「歴史検証のための証言2000」を開始した。7月10日に始まった同キャンペーンは、スイス政府とパラグアイ・メディアの協力による。
パラグアイ政府は1996年に独裁の存在を認め(1954-1989)ており、これら証言に基づいて作成される報告書を、政府見解として発表する方針である。CVJのマニュエル・ベニテス・フォロレンティン委員長は、既に1万2350の証言が記録されたと語っている。非政府組織「拘束誘拐者遺族の会」(Association of Relatives of the Detained ?Disappeared)によれば、殺害された人の数は3000から4000に上るという。
テレビ局は、13年間の刑務所生活を強いられた俳優エミリオ・バレトの話をスポットで流し、犠牲者に対する証言呼びかけを行っている。これまでに、人権活動家、反対政党リーダー、小規模農家の組合活動家、軍内部の反対者などが証言。中には、反対派に共鳴する発言を行っただけで、拘束/拷問を受けた者もいる。
独裁政権は、社会に深い傷跡を残した。証言採取に当たっている社会学者ホセ・カリオス・ロドリゲス氏は、「民主化導入から20年を経ても、人々は選挙権をいかに行使するかも知らない」と語っている。
南アメリカに幾つかの独裁政権が存在した1970年代、80年代には、亡命した反対派メンバーに関する情報を各国で交換し、誘拐/殺人を行うコンドル作戦が存在した。1992年に発見された報告書により、同計画に対するストロエスネルの責任も明らかになっている。来年発表予定の報告書では、犠牲者に対する道徳的/金銭的賠償が提案されることになろう。(ストロエスネルは、1989年に失脚しブラジルに亡命。同地で2006年8月に93歳で死去した)パラグアイ独裁政権の反対派弾圧実態調査について報告する。
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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