【プラハIPS=ゾルタン・ドゥジジン】
米国のミサイル基地建設に一度は同意したポーランドであるが、昨年のドナルド・トゥスク政権誕生以来、外交政策の大幅見直しが行われている。
カチンスキー前政権は、ロシアを敵視するだけでなくEUとの関係をも複雑にしていたが、今やポーランド・メディアのほとんどがその対米政策についても甘すぎたと批判している。
カチンスキー氏は、米軍基地の存在はポーランドの益になると考えていたが、基地建設は安全保障上むしろ不利になるとするトゥスク政権は、基地建設に強硬反対していたロシアとの対話を再開し、EUの主要政策にも参加した。また、対米発言も強さを増している。
米国はポーランドとの協力拡大を約束していたが、トゥスク政府は、口約束だけでは不十分だというのだ。
ポーランドは、真っ先に大量の兵士をイラク、アフガニスタンに派遣した。しかし約束された建設/石油ビジネスへの参入は実現していない。基地建設を事実上認めたチェコは、ワシントンとの技術協力拡大で合意したが、ポーランド政府は、基地建設の条件として具体的な見返りを要求しているのだ。その柱は、航空防衛と軍の近代化だ。
ライス国務長官はポーランドに対し、同国の安全はNATOにより完全保証されており、軍事力の更なる強化はロシアの反発を買うだけだと説明した。しかし、ポーランドは、基地が建設されればそれがロシアの攻撃目標になるとして、短距離ミサイル防衛が必要としている。実際、ロシア軍の一部にはこの様な主張もあり、ロシアのラヴロフ外相は、ロシア側の意見にも耳を傾けてもらいたいとして、今回の対話を歓迎している。
ポーランドの方向転換に驚いたのは米国である。彼らの要求を満たすには追加200億ドルの予算が必要となり、これによりポーランドは米国にとって最大の軍事援助国となる。ポーランドは共和党政権が要求を飲み、そのつけを新政権に残すことを期待している。
しかし、もし米国が代替国を探し始めるとすれば、それはロシアの勝利を意味する。ポーランド国民の多くそして米国にとって、それだけは何としても避けたいところである。米国のミサイル基地建設に対するポーランド新政権の対応について報告する。
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩