【プラハIPS=ゾルタン・ドゥジジン】
ポーランドでは右派「法と正義(PiS)」のヤロスワフ・カチンスキ前政権によるイデオロギーおよび政治的目的のための情報機関の濫用によって、諜報活動が完全な混乱に陥っている。
昨年10月の総選挙で政権を奪ったリベラル「市民プラットフォーム」のドナルド・トゥスク首相は、情報機関の徹底改革を進める意向であり、検察官および調査委員会が各種情報機関における権力濫用の調査を進めている。
情報機関は、党利党略への対応、文書偽造、機密情報の漏洩、盗聴装置の濫用、腐敗汚職への誘惑、内規違反などを非難されている。
こうした中、前政権が政権中の活動の証拠を隠そうとしているとの容疑が高まっている。とりわけ注目を集めている公安庁(ABW)の活動の悲劇的な結果は、謎に包まれたままである。
PiSは、情報機関からの共産主義後およびロシアの影響の排除という前政権の功績を現政権が台無しにしていると非難している。前政権は、共産党時代のロシア情報機関との関係、そしてポーランドの多くの高官がモスクワで訓練を受けたという事実が国家安全保障上の脅威となっているとの考えから、旧軍情報部(WSI)の解体を図ったのである。
だが、当時の野党市民プラットフォームも支持したこの動きは今、アフガニスタンおよびイラクにおけるポーランド部隊と高官の安全を著しく阻害していると考えられている。昨年10月には、ポーランドの駐イラク大使の車列が爆弾攻撃にあった。多くの人はこの事件が、間接的には現地におけるポーランドの諜報活動が突然の欠如したことによる結果であると解釈している。
ポーランド前政権による情報組織再編がもたらしている影響について報告する。
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩