【東京IDN=石田尊昭】
急に強まった解散風。「10月10日公示・22日投開票」が有力とされる。
野党第一党の民進党からは、大義の無い「自己保身の解散だ」という批判の声が上がっている。
確かに、回復傾向にある内閣支持率、民進党からの離党者の続出、そして新党の準備不足というタイミングで、「今なら傷は最小限ですむ」という考えが安倍晋三首相の頭をよぎったとしても不思議ではない。
ただ、解散総選挙がどのような思惑・タイミングで行われようとも、選挙は有権者にとって、これまでの政権運営と政策に対して評価・判断を下す重要な機会である。
野党が安倍首相に対し「伝家の宝刀の抜き方が卑怯だ」といくら批判しても、国民のためにはならない。むしろ、これを機会に、安倍政権がこれまで進めてきた、またこれから進めようとしている外交・安全保障政策、経済・財政政策、社会保障政策などに対して論理的な批判と対案(選択肢)を示し、政策論争を深めるべきだ。
そのほうが、国民の利益につながるだけでなく、野党・新党自らの存在意義を示すことにもなるだろう。
真の政党政治を実現させるべく尽力した尾崎行雄は、今から約90年前、当時の政党について、「過去のしがらみや利害・感情で結びつき、政策競争をせず、本来の目的(国家・国民のための政策実現)を忘れている」と喝破した。
90年を経た今の日本はどうか。
与野党間・政党間での政策をめぐる論争・競争が政党政治には不可欠である。
各政党が内外情勢の現実を踏まえた上で何を最重要課題と位置づけるのか―その優先順位の付け方も判断材料となるだろう。そこを厳しく問い質し、見極める目が有権者に求められる。
INPS Japan
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