【ロンドンLondon Post】
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は12月29日、先週墜落し38人が死亡した旅客機がロシア領内からの地上からの攻撃を受けたと述べ、ロシア側がこの惨事の原因について虚偽の説明をしていると非難した。
28日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はアリエフ大統領に対し、ウクライナの攻撃用ドローンに対抗する中でロシアの防空システムが関与したロシア空域での「悲劇的な事件」に謝罪した。しかしクレムリンの声明では、ロシアが飛行機を撃墜したとは明記されておらず、刑事事件が開始されたことのみが言及された。
「我々の飛行機は誤って撃墜された。」とアリエフ大統領は29日に国営テレビで語り、飛行機が何らかの電子妨害を受け、その後ロシア南部の都市グロズヌイに接近中に攻撃を受けたと述べた。
「残念ながら、最初の3日間、ロシアからは鳥が原因だとか、何らかのガスボンベが爆発したというような馬鹿げた説明しか聞かされなかった。」とアリエフ大統領は述べ、問題を隠蔽しようとする明らかな試みがあったと指摘した。
モスクワの名門大学で教育を受け、ロシアと密接な関係を持つアゼルバイジャンの指導者であるアリエフ大統領は、ロシアが飛行機を撃墜した責任を認め、関与した者たちを処罰することを求めた。
クレムリンは29日、プーチン大統領とアリエフ大統領が再び電話会談を行ったと発表したが、詳細は明らかにされなかった。ただし、28日には民間および軍事の専門家が事件について事情を聴取されていると述べていた。
アゼルバイジャン航空のJ2-8243便は水曜日、カザフスタンのアクタウ市付近で火の玉となり墜落した。この飛行機はウクライナのドローンがいくつかの都市を攻撃していたロシア南部の空域を迂回していた。
28日にプーチン大統領が発した非常に稀な公式謝罪は、この惨事についてロシア政府がある程度の責任を認める最も近い表現とされている。
アゼルバイジャンの調査の予備結果に詳しい4つの情報筋は26日、ロシアの防空システムが誤って飛行機を撃墜したとロイターに語った。
埋葬
アリエフ大統領の発言は、アゼルバイジャンが飛行機の乗客と乗員に敬意を表する中で行われた。
機長のイゴール・クシュニャキン、副操縦士のアレクサンドル・カリャニノフ(いずれもアゼルバイジャン国籍を持つロシア系国民)および客室乗務員のホクマ・アリエバは、バクー中心部のアレー・オブ・オナーで行われた式典で正式な栄誉が授与された。この式典にはアリエフ大統領とメフリバン夫人も出席した。
パイロットたちは、自身の命を犠牲にして29人の生存者を救ったとしてアゼルバイジャンで称賛されている。
「パイロットたちは経験豊富で、この不時着で自分たちが生き残れないことを分かっていました。」とアリエフ大統領は述べ、機首を最初に地面に向けることで一部の乗客を救うことを試み、自身を犠牲にした行動を賞賛した。
「乗客を救うため、彼らは非常に英雄的に行動し、その結果、生存者が出たのです。」とアリエフ大統領は語った。
エンブラエル(EMBR3.SA)製旅客機は、アゼルバイジャンの首都バクーからロシア南部のチェチェン地域にあるグロズヌイに飛行した後、カスピ海を横断して数百マイル離れた場所にそれた。
アゼルバイジャン大統領府によれば、パイロットたちは飛行機を制御しようと必死に努力し、着陸場所を探し続けた。
胴体に穴が空き、乗員の一部が負傷し、乗客が気圧の抜けた客室で必死に助かることを願い、飛行機が制御不能に陥る中、パイロットたちはカスピ海を越え、最終的には墜落に至る航路を選んだ。
アレー・オブ・オナーはアゼルバイジャンで最も神聖視される埋葬地であり、著名な政治家や詩人、科学者たちが眠る場所で、現大統領の父親ヘイダル・アリエフも埋葬されている。
機長クシュニャキンの娘、アナスタシア・クシュニャキナさんは、父親が乗客の命に対して深い責任感を持つ献身的なパイロットだったと語った。
「父はいつも言っていました。『離陸した瞬間、私は自分の命だけでなく、乗客全員と乗員全員の命に責任を負っている。』と」とクシュニャキナさんは語り、「最後の飛行で、父は真の英雄がどうあるべきかを証明しました。」と述べた。(原文へ)
INPS Japan/London Post
関連記事: