【ブダペストIPS=ゾルタン・ドゥシジン】
経済危機に苦しむロシア、破綻寸前のウクライナ。中央ヨーロッパとバルカン半島を凍えあがらせる紛争の責任がどこにあるのか誰も断言できない。
ウクライナの支払い遅延、ロシア国営ガスプロムのガス供給停止という応酬は2006年以来、毎年恒例となっている。ウクライナのパイプラインに供給されるガスの80%が欧州向け。ロシアはウクライナがガスを抜き取っているとして供給を停止する。
ロシアのプーチン首相はガス供給の再開条件として、EUの監視団派遣を挙げている。「この監視団は12月に派遣すべきだった。EUは過去の教訓を活かしていない」とIPSの取材に応じたハンガリー国際関係研究所のAndrás Deák氏は言う。
ほとんどの欧州諸国が1,000立方メートルあたり400ドルでガスを購入しているのに比べ、ウクライナの購入価格は179ドル。ロシアは250ドルまでの値上げを迫っており、2009年の供給契約は成立していない。
ウクライナはガスプロムへの15億ドルの支払いに中央銀行の資金を使い、2009年にも金と外貨を使い果たして債務不履行となるおそれがあるとユーシチェンコ大統領は言う。しかし、ガスパイプラインのロシアへの売却は拒否している。
ウクライナ国内でエネルギー政策は政争の具になっていると報道機関は指摘する。「期限前議会選挙の可能性が大きくなるなか、ガスの値上がりにつながる契約にサインしようとする者はいない」とDeák氏は言う。一方、世界規模の経済危機は欧州のガス会社の買い控えという形でロシアにも及んでいる。
もっとも影響を受けているのが、備蓄施設を持たず100%をロシアのガスに頼っているバルカン諸国である。ボスニア、チェコ、スロバキア、ハンガリー、オーストリア、ブルガリア、クロアチア、マケドニア、セルビア、ギリシャにも深刻な影響が及んでいる。
このような事態は経由地としてのウクライナの地位を脅かし、信頼できる供給元としてのロシアの地位をも脅かしている。
ロシアによるウクライナへのガス供給停止問題について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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