【グアテマラ・シティIPS=イネス・ベニテス】
1980年代半ばグアテマラ、ニカラグア、エルサルバドルと武力紛争が激化していた中米も、1987年の和平合意成立により和平の基盤が築かれた。それから20年、しかし内戦の背景にあった社会的要因は依然存在し、新たな紛争の潜在的脅威となっている、とアナリストらは警告する。
和平合意は、自由と民主主義において、中米各国は、極貧のない平等主義の社会を達成するため、発展の促進を目指す合意を採択すると言明した。
1996年の和平合意により36年にわたる武力紛争が終結したグアテマラだが、経済的・社会的周縁化と貧困は依然根深く、富の集中が著しい。1日1ドル以下の生活を送る極貧層は、1990年の20%から2000年には一旦16%に減少したものの、2004年には21.5%に再び上昇した。子どもの48%は栄養不良に苦しむ。エコノミストのミゲル・アルトゥロ・グティエレス氏は、貧困と社会的不平等に関しては、ほとんど変わっていないと言う。
1992年の和平合意によって12年の紛争に終わりを告げたエルサルバドルは、富のより公平な分配や貧富の格差解消に期待が持たれたが、1989年以来の右派国民共和同盟(ARENA)政権のもと不平等と富の集中化が進んでいる。エコノミストのアルフォンソ・ゴイティア氏は「見せかけの法的メカニズムの下で、再び権威主義、弾圧、迫害の問題に直面している。新たな社会紛争の引き金となりうる状況に戻りつつある」と、社会・人権活動家に対する脅迫や攻撃に言及して指摘する。
ニカラグアでは、18年に及ぶソモサ政権に対する武力闘争とそれに続く11年間のコントラによるサンディニスタ国民解放戦線(FSLN)政権に対する反政府闘争、さらには米国による経済制裁で経済が疲弊したことに加え、内戦による100万人以上の難民と4万3000人(3万人の説もある)の犠牲者が生まれたことを背景に、サンディニスタン政権とコントラは停戦を合意、1990年に内戦は終結した。平和が訪れたものの、ニカラグアは米州諸国の中でハイチに次いで2番目に貧しい。極貧層は1990年の19.4%から2006年には14.9%にわずかに縮小しただけで、エコノミストのアレハンドロ・マルティネス・クエンカ氏によれば、2005年において農村人口の70.3%は依然貧困生活を送っている。
1987年の中米和平合意により和平が実現したものの、ミレニアム開発目標(MDG)の履行状況に関する国連開発計画(UNDP)の各国報告書によって貧困が依然深刻であることが明らかとなった中米3カ国について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩