地域アジア・太平洋|核実験に反対する国際デー|核兵器禁止へのコミットメントを再確認する、と国連事務総長

|核実験に反対する国際デー|核兵器禁止へのコミットメントを再確認する、と国連事務総長

【ニューヨークIDN=UNニュース】

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、包括的核実験禁止条約(CTBT)をまだ批准していない国々に対して、一刻も早く批准するよう改めて強く呼びかけた。

この呼びかけは、8月29日の核実験に反対する国際デーに寄せてなされたものだ。

今日は、カザフスタンにあった旧ソ連最大の核実験場、セミパラチンスク核実験場が閉鎖されてから30年目にあたる。ここでは40年間に450回を超える核実験が行われた。

United Nations Secretary-General, António Guterres UN Photo/Mark Garten

グテーレス事務総長は、「核実験は甚大な人的被害と環境破壊をもたらした。」と指摘したうえで、「被害を受けた地域の住民の健康に恐ろしい影響を及ぼしました。多くの人々が代々受け継がれてきた土地を離れざるを得なくなり、生活や生計が混乱しました。手つかずの環境や生態系が、修復には数世紀とは言わないまでも数十年はかかるほど、破壊されました。」と語った。

「この実験場の閉鎖により、無制限な核実験の時代が終わりを告げました。その後程なく、CTBTの交渉を開始しました。CTBTは、いかなる国による、いかなる場所での核兵器のすべての実験的爆発も禁止しており、核軍拡競争に歯止めをかけ、新たな核兵器開発に対する強力な防壁となります。」と事務総長は語った。

CTBTは1996年に採択され、これまでに185カ国が署名、170カ国が批准している。しかし、この条約が発効するには核技術を有する44カ国すべてが署名・批准しなければならない。

「セミパラチンスク核実験場の閉鎖から30年の間に、核実験に反対する規範が徐々に形成されてきました。しかしながら、CTBTはほぼすべての国で採択されているにもかかわらず発効されていないために、その可能性を完全には発揮できていません。」と事務総長は嘆いた。

グテーレス事務総長は、「私は、この条約をまだ批准していない国々に対して、一刻も早く批准するよう改めて強く呼びかけます。その批准が条約発効に必要な8カ国(米国、中国、エジプト、イラン、イスラエル、北朝鮮、インド、パキスタン)は、特別な責任を負っています。それと同時に、あらゆる国々が核爆発のモラトリアムを維持または実施すべきです。」と指摘したうえで、「『核実験に反対する国際デー』は、いかなる者がいかなる場所で行うものであっても、すべての核実験を禁止するという私たちの約束を再確認する機会です。この目標の達成を遅らせる理由は存在しません。」と語った。

核兵器が国際社会に及ぼしている脅威は「今も厳然として変わりません。」とマグジャン・イリヤソフ国連大使は、国際デーを前にUNニュースの取材に応じて語った。(インタビュー内容はこちらへ

「私たちカザフ人にとって8月29日は単なるカレンダーの日付ではありません。核実験によってカザフスタンだけでも150万人の人々が今も苦しんでおり、残念ながら将来の世代にわたって、被爆に起因する遺伝性疾患、癌、白血病等に苦しむことになります。セミパラチンスク核実験場で行われた核爆発のインパクトは、第二次世界大戦中に広島に投下された原爆の1200倍に相当します。」

Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri
Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri

「セミパラチンスク核実験場はイスラエルの国土に相当します。これだけの広大な地域が、数十年に亘って、農業など生産的な活動に全く活用できないのです。これを考えれば、今は閉鎖された世界各地の核実験場がもたらした被害の規模が想像できるでしょう。」とイリヤソフ大使は語った。(原文へ

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