地域アフリカ|南アフリカ|大規模農業は持続不可能

|南アフリカ|大規模農業は持続不可能

【ヨハネスブルクIPS=スティーブン・リーヒ

「開発のための農業科学技術国際評価」(IAASTD)の最終報告書が、4月12日、南アフリカのヨハネスブルクで発表された。報告書は、地域ごとの5つの評価書と110ページの総合レポートから成っている。人口爆発や気候変動などといった難題に立ち向かうために農業をどのように再構築すべきかを述べたものだ。 

重要な結論のひとつは、工業的で大規模な農業はもはや持続不可能だということである。安い石油に依存しすぎている点、生態系に悪影響を与える点、水を大量に利用する点、どれをとっても困難が目に付く。

 また、報告書は、モノカルチャーよりも生物多様性の方が重要であると結論づけた。 

IAASTDの共同議長ハンス・ヘレン氏によれば、実際のところ世界が悩んでいるのは食料の「量」が足りないという問題ではない。それよりも、適切な場所に適切な食料が存在しているかという問題なのである。 

国際環境団体「グリーンピース」のヤン・ファン・エイケン氏も同じような主張だ。0.5haの土地で高収穫型のコメを生産するよりも、同じ広さの土地で70種類の野菜や果物などを生産した方が栄養という点でははるかに優れている、とエイケン氏は語る。 

また、バイオテクノロジー、とりわけ遺伝子組み換え作物(GMO)をめぐる議論もあった。報告書は、バイオテクノロジーには確かに一定の役割があるものの、GMOの与える利益については科学的に証明されていないこと、遺伝子の特許は農民や研究者に悪影響を与えることなどの結論を出した。 

当初、米豪両政府の代表がこの部分に対して激しく反発していたが、両国の留保の意思を報告書に記述する妥協がなされて、ようやく報告書が採択されたという経緯があった。 

IAASTDの最終報告を受けて、この問題は、科学的な議論から政治的な意思決定という新たな段階に進んだといえるだろう。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

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