ニュースベネズエラ、米国の福音派を追放

ベネズエラ、米国の福音派を追放

【カラカスIPS=ウンベルト・マルケス】

ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、ベネズエラ南部のコロンビアとブラジルの国境近くに住む先住民に1946年から布教活動を続けている福音派教会「ニュー・トライブ・ミッション」を追放すると全国放送の演説で宣言した。「帝国主義を広め、戦略的機密を収集し、先住民を搾取するものはベネズエラから退去させる。国際的な反応はどうでもよい」と大統領はいう。

ニュー・トライブという組織は、聖書を先住民の言葉に翻訳することを目的としている米国の「サマー言語学研究所(Summer Institute of Linguistics)」と密接な関係を持ち、アジアや中南米で活動している。1970年代から、ニュー・トライブは多国籍企業のための鉱物探鉱、先住民への強制的な改宗と文化の押し付けをするとして、左派の政治団体、環境保護主義者、先住民の組織、研究者、カトリック協会、軍隊から批判を受けていた。

ニュー・トライブ・ミッションによるアマゾンのジャングルでの活動を20年前に報告した、社会学者で環境問題専門家のアレクサンドル・ルザルド氏は、今回の大統領の決断を歓迎している。「決断は1999年の憲法改正時に制定された先住民の民族自決主義、信仰、価値観、慣習の尊重を定めた条項に適っている」とIPSの取材に応じて語った。

ニュー・トライブの活動が最盛期だった20年前には、米国から来るニュー・トライブの宣教師は200人近くいた。宣教師たちはウラニウムが豊富なベネズエラ最南部のアマゾナス州に集まり、先住民の素朴な家屋と対照的な、発電所、滑走路など近代的施設を建築した。そしてその頃にも、ニュー・トライブは、SILに資金援助するジェネラル・ダイナミクス社(防衛産業の一企業)やフォード社などの企業による地質調査と鉱物試掘の隠れ蓑として活動しているという非難が起きていた。

ニュー・トライブはベネズエラ福音派委員会に所属しており、政府の宗教的迫害を訴える可能性がある。また、この2年間にわたってベネズエラと政治外交問題で対決している米国の組織でもある。さらには米国の福音派宣教師が8月にテレビでチャベス大統領の暗殺を呼びかけ、先週は大統領がアルカイダに資金提供していると非難した。

一方、ルザルド氏は、チャベス大統領の方針は正しいとしつつも、このチャベス大統領に対する先住民の抗議行動も展開されていると付け加えた。この先住民たちは、自分たちの土地に大統領がベネズエラとブラジルとの合弁事業で炭鉱の開鉱を許可したことに反対しているのである。

ベネズエラからの福音派の追放について報告する。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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