SDGsGoal7(エネルギーを皆にそしてクリーンに)再生可能エネルギーはグローバルなエネルギー転換の柱だ

再生可能エネルギーはグローバルなエネルギー転換の柱だ

【レノ(米ネバダ州)IDN=J・W・ジャッキー】

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、風力や太陽光などさまざまな再生可能エネルギーが2050年までに世界の電力供給の中心を占めるようになるとの最新の分析を明らかにした。3月16・17両日に「ベルリン・エネルギー転換対話」でIRENAが発表した「世界エネルギー転換展望」要覧で論じられている。

現在加盟数163か国(162カ国と欧州連合)をかかえるIRENAは、持続可能なエネルギーの将来に向けて移行しようとする国を支援する世界的なエネルギー変革のための政府間組織で、国際協力の主要なプラットフォーム、中核拠点、再生可能エネルギーに関する政策、技術、リソースの集積所として、あらゆる形の再生可能エネルギーの広い適用と持続可能な使用を推進する主導的な役割を果たしてきた。

「気候投資プラットフォーム」への貢献の一環として、IRENAは、再生可能エネルギー関連プロジェクトの実現を支援する用意がある金融機関や開発機関、民間投資家に対して、地域毎にまとめられた特設のポータルを通じて適切なプロジェクトへの参加を呼びかけている。

SDGs Goal No. 7
SDGs Goal No. 7

気候変動に対処するには、2050年までにエネルギー需給の脱炭素化を達成する必要がある。この動きは、世界的なエネルギー転換に重大な影響を及ぼし、エネルギー部門の脱炭素化にあたって、電気が重要な要素となることを意味する。

国際社会は2015年9月に開催された国連のサミットで、17項目からなる持続可能な開発目標(SDGs)という世界共通目標を2030年までに達成することを決めた。すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保することは、SDGsの第7目標に明記されている。また、気候変動とその影響に立ち向かうために緊急対策を取ることは、SDGsの第13目標にあたる。

急速な炭素削減に向けた代替手段は利用可能であるが、2021年以降もクリーン・エネルギーが成長する見通しである。再生可能エネルギー、電化、省エネが、エネルギー転換の中心に据えられることが理想だ。以下、エネルギー転換を加速させることができる3つの要素について説明していく。

持続可能性と社会経済的なバランス

奇妙に聞こえるかもしれないが、エネルギー転換と経済成長の相互関係は、エネルギー転換指数(ETI)で高位にある国において重大な課題に直面している。実際、指標が存在する115カ国の中で、ランキングを上げ、かつ経済成長も成し遂げた国は全体の半数以下であった。さらに、原油価格高騰の懸念が高まるなど、先進国は多くの問題に直面している。

この10年ほどで、先進国の世帯では電気料金が25%増加した。同じ期間に、経済成長と環境の持続可能性、開発分野において前進がみられたのは途上国の40%にも満たなかった。

エネルギー転換をバランスよく進めるには、安全とエネルギーへのアクセス、経済開発、持続可能な管理を達成しなくてはならないことを指導者は理解する必要がある。エネルギー転換の特定の要因にのみ力を入れることは、世界的な不平等の原因となり、気候変動に関する目標の不達成につながるからだ。

教訓の共有

クリーン・エネルギーに関して言えば、欧州・北欧諸国は、政治的コミットメントの強さや統合的な電力市場、持続可能性実現に向けた強力な規制政策のために、高い実績を誇っている。これらの国々の規制政策は、エネルギーを転換する革新的な技術の採択を中心としたものだ。興味深いことに、中国やインド、ブラジルといった新興国も、再生可能エネルギー源を強化し、エネルギーの集中的な使用を減らし、グローバルなエネルギーアクセスを拡大している。

しかし、エネルギーの転換プロセスにはまだかなりの格差がある。この格差を急速に埋めるために、国家間の協力が最も優先されねばならない。エネルギー転換指数(ETI)で高位にある国は、その規制とイノベーションについて、新興国と知見を共有しなくてはならない。

地方レベルで言えば、各国政府は、地域コミュニティーを持続可能なプロジェクトに巻き込みながらクリーン・エネルギーへの移行を図ることが可能だ。例えば、クリーン・エネルギーに関する教育によって、太陽光や地熱、風力に関する関心を高め、新システムの開発に向けた余地を生み出すことができる。 

移行を通じた強靭化

IRENA

この10年間のエネルギー転換は不均等な形でしか生じていない。ETIのランキングを上げたという意味では、115カ国中わずか13カ国しか達成していない。新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)による債務危機とシステム的な衝撃が、エネルギー転換のロードマップに影響を及ぼしている主な要因だ。

不可逆的な進展を促進し、今後ありうるリスクを抑えるために、各国は、経済・政治・社会的実践においてエネルギー転換の公約とロードマップを守らねばならない。そうすることで、再生可能エネルギーの利用を促進し、CO2排出燃料を減らし、規制の枠組みを改善することができる。

グローバルなエネルギー転換のプロセスは始まったばかりだが、政策決定者や投資家、消費者、イノベーターには、持続可能性に関する目標を達成するために必要なことを行ってほしい。

社会経済的なバランスや持続可能性に関するバランスを向上させ、規制政策やイノベーションに関する教訓を共有することで、各国はグローバルなエネルギー転換を促進することができる。各国政府は、強靭さを身につけ、生態系やセクターを超えた協力を促進すべきだ。(原文へ

INPS Japan

関連記事:

裕福な国々よ。聞いていますか?南の発展途上国に負っている気候負債を返済すべき!

持続可能な開発目標採択から5年、貧富の差が広がる

|視点|「人種差別・経済的搾取・戦争」という害悪根絶を訴えたキング牧師の呼びかけを実行に移すとき(アリス・スレイター「核時代平和財団」ニューヨーク事務所長)

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

パートナー

client-image
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
The Nepali Times
London Post News
ATN

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken