【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】
多くのアフリカの活動家らが、米国のジョー・バイデン大統領が40の国・地域の代表を招いて4月22日に主催した気候変動サミットに耳を傾けていた。その中に、グリーン経済連合の社会契約イニシアチブ特別顧問をつとめるクミ・ナイドゥ氏と、地球の友インターナショナルのディプティ・バートナーガー氏の姿があった。
アムネスティ・インターナショナルの事務総長とグリーンピースの事務局長を務めた経験があるナイドゥ氏は、気候危機に関して、とりわけ米国(トランプのみならずそれ以前の歴代政権)による対応の遅れにより、世界は真夜中(地球滅亡)から1分前にまで追い込まれている、と警鐘を鳴らしている。
「南の途上国が支援を求めている時、それがアジアであれ、アフリカであれ、或いは、ラテンアメリカ、中東、カリブ海地域の国であれ、チャリティーを求めているのではありません。私たちは単に、『この(気候変動の)問題の歴史、すなわち、欧州、北米その他の先進国が汚いエネルギーを梃に経済を構築してきたという事実を認めるよう。』主張しているだけなのです。」
「私たちは是正と償いを求めているのです。そして裕福な国々に気候負債を支払うよう求めているのです。」「(先進国が)歴史的に排出してきた二酸化炭素の量など、統計が明確に示しています。」とナイドゥ氏は語った。
ディプティ・バートナーガー氏は、「米国政府は途上国がネットゼロ(エミッション)戦略を確立するのを支援する」としている新たなグローバル気候アンビションイニシアチブについて、「ネットゼロ(或いはカーボンオフセット)は、基本的に企業の戦略です。世界で最も環境を汚している企業からもネットゼロ提案がなされています。これらの企業は突然ネットゼロ目標を掲げて取り組みを活発化させました。そこで誰もが、これらの企業は何十年にも亘って気候科学を抑えつけてきたにもかかわらず、なぜ突然熱心に目標を掲げるようになったのか不思議に思うでしょう。」と語った。
「ネットゼロ戦略は、(植林活動などへの支援を通じて)再び二酸化炭素を自然界に吸収させることができると説いているため、これを口実に、企業はこれまで通りの環境を汚染する活動を継続してしまう側面もあるのです。つまり、ネットゼロ戦略は、温室効果ガス削減のためのプロジェクトに投資して二酸化炭素を隔離することで、排出分を相殺(オフセット)しようとする取組みなのです。しかし二酸化炭素を隔離するために、こうした企業は実際にどこの川や湖を使うというのでしょう。結局は南の開発途上国において人々が生活していくために利用している土地や森林が狙われ、大規模な土地収奪の対象になっています。」
「つまり自然を商品化することが次の市場となっており、私たちはこれに断固として反対しています。」と、バートナーガー氏は語った。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、国際マザーアース・デーに寄せたメッセージの中で、地球を回復させ、自然と和解する活動に尽力するよう呼びかけた。
「今年の国際マザーアース・デーは、人類が自然界を破壊し続け、私たちの地球が今、『転換点』にあるなかで迎えています。私たちは、顧みることなく地球の資源を奪い、野生生物を激減させ、空や大地や海をゴミ捨て場のように扱っています。極めて重要な生態系や食物連鎖は、崩壊寸前にまで追いやられています。」とグテーレス事務総長は語った。
「これは自殺行為です。私たちは自然との戦争を止め、自然を大切に育み、健康な状態に戻さなければなりません。」
グテーレス事務総長は、「(自然との)戦争を終わらせるには、世界の気温上昇を1.5度に抑える『大胆な気候変動対策』を講じ、生物多様性の保護のためにより強力な対策をとらなければなりません。さらに、廃棄物を削減する循環型経済の構築によって、汚染を抑制しなければなりません。」と語った。
グレーレス事務総長は、これらの対策は、私たちの「唯一の家」である地球を守り、何百万人分もの新たな雇用を創出することになる、と語った。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックからの復興は、世界をよりクリーンで、より環境に配慮した、より持続可能な道へと導くチャンスなのです。…地球を回復させ、自然と和解するという大仕事に尽力しようではありませんか。」とグテーレス事務総長は呼びかけた。(原文へ)
INPS Japan
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