【アブダビWAM】
「今年もパレスチナ人は、多くの同胞が家を追われ難民となった『ナクバ』記念日を迎えた。この節目はパレスチナ国家の将来について真剣に考えるよい機会である。パレスチナ人が故郷に還る権利を認めることはイスラエル-パレスチナ紛争を終わらせる鍵であり、この点について交渉の余地はない。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙は報じた。
ガルフ・ニュースは、5月16日付の論説の中で、数十万人のパレスチナ人がイスラエルが建国された1948年に強制されて難民になったことは歴史的事実である。彼らは諸外国で生活を立て直さざるを得なかったことからも明らかなように、パレスチナ人は自らの選択で難民となったわけではない。
その後国外での生活を余儀なくされた人々の数は、1948年の「ナクバ」を経験した世代に止まらず、その子孫も含めて数百万人に及ぶ。彼らが住んでいる仮の家屋は、イスラエルに奪われた故郷の市や村の代わりにはなりえないのである。
「ナクバ」記念日を迎える中、イスラエル/パレスチナ各地で衝突が勃発した。少なくとも10名のパレスチナ人がエルサレム、レバノン国境、ゴラン高原、ガザ地区でイスラエル兵士により殺害された。一方、パレスチナ人達はヨルダン川西岸地区(ウエストバンク)及びガザ地区で「ナクバ」を記念してデモ行進を行った。
「パレスチナ人が追い込まれている切迫した状況を考えるとこうした行動は理解できる。パレスチナ国家樹立を巡る和平交渉は、暗礁に乗り上げて既に久しく、中東カルテット(米国、ロシア、欧州連合、国際連合)も主要先進国も交渉再開に動いている様子はない。」
「暴力を終息させるには、和平プロセスはパレスチナ人の大義に対して正義をもたらすものでなければならない。」
「そしてそれが実現するまでは、パレスチナ人が自らの声を伝えようと必要な手段に訴えたとしても、それを非難すべきではない。従って、暴力の連鎖が手に負えなくなってしまう前に、平和的解決に向けた努力がなされるべきである。」と、ガルフ・ニュース紙は結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan戸田千鶴