SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)|ジンバブエ|気温上昇が人間と野生動物の紛争を助長

|ジンバブエ|気温上昇が人間と野生動物の紛争を助長

【ブラワヨIPS=イグナチウス・バンダ】

ジンバブエでは気温の上昇により、ヘビなどの動物が通常よりも早く自然の生息地を離れるため、人間と野生動物の衝突が増加している。

当局によれば、気温が高いために山火事シーズンが早まり、野生動物が人間の住む地域に押し寄せ、すでに医療サービスが低下しているジンバブエでは、多くの人々の命が危険に晒されているという。

世界保健機関(WHO)などの諸機関が気候変動と健康との関連性を強調し、研究の強化を呼びかけているときでもある。

世界的に、かつてないほどの気温の上昇が壊滅的な山火事の原因となっているが、ジンバブエのような低所得のアフリカ諸国も気候変動の影響を受けている。

今年の初め、ジンバブエ保健省は、ヘビが人間の住む地域に移動したため、ヘビに噛まれる件数が急増したと報告した。

住宅地でヘビが急増しているのを目撃した住民によると、これはジンバブエ全土が猛暑に見舞われていることと重なるという、 また、国内の都市部ではヘビ捕り業者も繁盛しているという。

野生動物当局によると、野生動物の生息地が失われつつあるため、人間への危険性が高まっている一方、気候研究者は気温の上昇と蛇による被害との関連性を指摘している。

ジンバブエ国立公園野生生物局(Zimparks)によると、ヘビが冬眠している期間である冬眠期は、異常な高温の長期化によって短くなり、ヘビは例年よりも早く隠れ場所から移動するようになったという。

また、急速に変化する世界的な気候の中で、冬が短く、日中が長くなることも常態化しており、野生生物は適応を余儀なくされ、状況によっては人間の住む地域に移動せざるを得なくなっている、と研究者たちは指摘している。

このため、ヘビに噛まれる件数が過去最多を記録している、と公園・野生動物局のティナシェ・ファラウォ広報官は指摘した。

ジンバブエで猛暑が続いていることも、山火事のシーズンが長くなっている原因である。乾燥した状況は、ヴェルド(草原)火災の拡大に理想的な条件を提供しているからだ。

そして、草原火災が広がると、ヘビなどの危険な野生生物は安全な場所を求め、さらに人間の命を危険にさらすことになる、とジンバブエ政府関係者は語った。

しかし、影響を受けたコミュニティは、気候変動が引き起こすこの現象にどう対処すべきか、窮地に立たされている。

ジンバブエでは、人間が生命の危機を感じていても、野生動物や保護されているヘビ類を殺すことは処罰の対象であり、気候変動が生物多様性や生態系のバランスに与える影響と複雑さを浮き彫りにしている。

「生態系が変化するにつれ、人間も野生動物も食料、水、資源を求めて遠くまで移動するようになります。ジンバブエにおける人間と野生動物の衝突問題は、ますます大きくなっています。」と環境省の気候変動管理ディレクター、ワシントン・ジャカタ氏は語った。

「気温の上昇は、植生、食料源、水へのアクセスなど、多くのことに影響を及ぼしています。生態系は徐々に特定の動物にとって住めなくなりつつあり、野生動物は食料と住みやすい環境を求めて、通常のパターンから外れた移動を余儀なくされています。」と、ジャカタ氏はIPSの取材に対して語った。

ジンバブエはここ数ヶ月、記録的な高温を記録し、農作物から人々の健康まで、あらゆるものに影響を及ぼしている。

研究者たちは、地球温暖化が長年にわたって生物多様性を破壊し、野生生物がより住みやすい地域に移動することを余儀なくされ、その過程で自然の生態系が乱れていることを指摘している。

「サハラ以南のアフリカの多くの地域では、干ばつの時期になると、人と家畜が減少する資源をめぐって野生生物と競合しています。」と、世界自然保護基金で野生生物と気候レジリエンスのシニアディレクターを務めるニヒル・アドバニ氏は語った。

気候変動がもたらす難題の中で、専門家たちは、人間と野生動物の衝突の増加に対処するために、より良い介入が必要だと言う。

こうした兆候にもかかわらず、ジンバブエのような後発開発途上国は、気候管理プログラムへの資源の動員や投入に苦慮しており、人間と野生生物の紛争が顕在化している。

「人間と野生動物の衝突を緩和するのに役立つ介入策はいくつもあります。例えば、捕食動物を防ぐボーマス(安全地帯)や、その地域の野生動物に対する早期警告システムなどです。重要なことの一つは、野生動物と共存することのメリットをコミュニティが理解することです。」とアドバニ氏は語った。

SDGs Goal No. 13
SDGs Goal No. 13

ジンバブエには、人間と野生動物の衝突などの問題を解決することを目的としたCAMPFIRE(先住民資源の地域社会による管理プログラム)があるが、気候変動が生態系に与える影響など、より広範な問題は依然として取り組まれていないと、影響を受けたコミュニティは指摘した。

「エコツーリズムのような取り組みは、観光事業が、バリューチェーン全体を通じて地域社会を強く取り込むものである限り、地域社会が野生生物と共存することの利点を知るための素晴らしい方法です。」と、アドバニ氏は指摘した。

気候研究者が地球は今後も温暖化し続けると警告し、地域社会が危険な動物との共生を何とか常態化させようと奮闘する中、気候変動が人間と野生動物の紛争に長期的な影響を及ぼす懸念が高まっている。

「すでに今日、私たちは30年前と比べ、気候や天候に関連した自然災害の急激な増加に直面しています。これらの災害は、人間、ペット、野生動物の生命と生息地に壊滅的な損失をもたらしています。」とジャカタ氏は語った。(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau Report

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