【モスクワIPS=ケスター・ケン・クロメガー】
ソ連の専制政治終焉後の困難な18年を経て、ロシアは着実に国際舞台に戻ってきた。
「失われた10年」と言われる エリツィン政権後に起きた プーチン政権での急速な発展は、プーチン首相/ メドベージェフ大統領の政権で引き続き発展する期待を持たれている。
しかし、ロシアは、米国オバマ大統領の選任と時を同じくして起こった景気後退と、近隣共和国グルジア、ウクライナに代表される東欧への 北大西洋条約機構(NATO)拡大の脅威という新たな難問に直面している。
「現ロシア政権は、近隣共和国をはじめとして世界に対し、より断固たる姿勢を示そうとしている。米国主導でグルジアとウクライナをNATOに加盟させようという動きに堪忍袋の緒を切らしたロシアがグルジアで起こした最近の軍事行動は、その証であり、ロシアの威光を高めた。」と米国の軍事・外交専門家のカーペンター氏はIPSに語った。
ロシア政府高官は、世界開発プログラムへの提供資金の増額、世界最貧国への支援金増額、アジア、アフリカでの教育プログラムなどや中南米への資金提供をロシアが実施してきていることを宣伝し、NATO拡大阻止の対策のひとつとしている。
しかし、最新の世界状況はロシアの影響力を低下させるかもしれない。「より確固たる役割を果たしたいにもかかわらず、ロシアの力は、どちらかというと制約を受けている。石油、天然ガスなどの価格が急騰していたときとは違って、それらの価格が暴落した今では、ロシア政権の力は6か月前よりはるかに弱体化し、軍備増強は難しく、世界への影響力拡大は遅れるだろう。」とカーペンター氏は言う。
世界危機について、メドベージェフ大統領は、世界の国々が協力して対応する必要があり、「信用回復なしには、長期ベースで建設的な二国間外交構築の可能性を実現することはできない。」と述べた。しかし、ロシアの金と金属通貨保有量は世界第3位であり、ロシアが嵐を乗り切る助けになるだろうと付け加えた。
ロシア現政権の世界への影響力拡大戦略と世界経済危機の影響について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩