【ウィーンIPS=スティーブン・リーヒー】
アイオワ州北部の農村にある風力発電なら、温室効果ガスを生まない電気を年間30万ドル分作れるかもしれない。しかし、米国政府が実際にやっていることは、エタノール燃料の製造に対して大量の補助金を提供することだ。しかし、それは地球温暖化には何の効果もない、と地球政策研究所のレスター・ブラウン氏は言う。
ロシアで熱波が発生し、世界的な穀物不足が懸念されている。モスクワでは、8月9日、最高気温37度を記録し、28日連続で30度越えとなった。8月の平均気温が21度だから、猛烈な暑さである。この暑さで、少なくとも1万5000人が亡くなっている。
穀物への被害も深刻で、ロシア、カザフスタン、ウクライナでは、干ばつによって生産が4割以上減るだろうとみられている。これら3国で世界の穀物輸出の25%を占めているが、ロシアのウラジミール・プーチン首相は、ロシアはすべての穀物輸出をストップすると発表している。
すると、世界中で穀物不足が生じることになる。すでに、今年8月時点で、食料高騰に悩まされた2007年8月よりも小麦やとうもろこし、大豆の価格が高くなっている。
ブラウン氏は、「ロシアの熱波は、世界的な食料供給がいかに脆弱であるかについて、警鐘を鳴らしてくれている」と語る。
「そのような状況の中、米国で生産される穀物のうち25%を大量の補助金によってバイオ燃料生産に費やすのは誤っている」とブラウン氏は主張する。「エタノール補助金をやめ、真の二酸化炭素削減に向けて緊急に動き出すべきときだ」。
ロシアの熱波と世界的な食料危機、地球温暖化対策の関連について考える。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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